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[番外編]「東京ゾンビ」先行上映会トークショー

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「東京ゾンビ」の本公開も間近の12月8日、シネセゾン渋谷にて、監督と原作者による先行上映トークショーが行われた。

ご出席(敬称略)
佐藤佐吉監督
花くまゆうさく(原作)
ニシザワ?(司会:映画パーソナリティー)

<上映前のトークショーより>

司会: お忙しい中、今日はありがとうございます。 私はこの映画をもう半年位前ですかねぇ、見させていただきまして、かなり衝撃的な内容で、私の中では、この日本映画を変えて行くんじゃないかという位の衝撃的な映画でした。 ちなみに監督は何回位この映画をご覧になられたんですか?

佐藤: いや、多分ちゃんとしては4、5回かな。

司会: 4、5回ですか。
花くまさんは?

花くま: 僕も5回位だと思います。

司会: そうですか。 ちなみにですね、多分じゃあ人類史上、今のところ8回位見てるんですけど、僕が多分一番この映画を見てる人間だと思うんですね。 それ程すごいファンだってことを解ってくれてればと、はい。 今日はお越しいただいておりますので、ちょっと監督の方から、えっとですね、この「東京ゾンビ」は本日こちらにいらっしゃいます、花くまさん原作の代表作とも言えます漫画なんですけれども、この漫画を映画にと、まず思われたきっかけはどういうものだったんでしょうか?

佐藤: あの、僕自身が花くまさんのすごい大ファンで、もうお会いする前から、花くまさんの漫画全部持ってたんですけど、たまたま僕が、前、高円寺にいたんですけど、僕が通ってるマッサージ屋さんに、花くまさんが偶然通ってて、でその先生から、あれが花くまゆうさくだって教えてもらって、あぁ!どうもっていう、そっからが始まりですね。 で、そのときに花くまさんと何回かお会いしていたときに、「東京ゾンビ」っていうのを映画化したいというプロデューサーがいるという話で、じゃあ脚本家として僕を推薦しといてくださいよ、みたいなとこから始めたんです。

司会: そのマッサージ屋さんは、是非今度僕も紹介しといてください。

花くま: いや、僕達はもうそこ行ってないんです。

司会: あ!それでは僕一人?

花くま: 二人とも卒業しちゃったんです。

司会: 続いて花くまさんにお伺いしたいんですけども、この原作である「東京ゾンビ」という作品は、花くまさんにとって、どのようなものなんでしょうか?

花くま: もう結構特別なものというか、すごい可愛い子なんですけどね、僕にとって子供ですね、はい。 割と他の仕事も、まぁ一生懸命やってますけど、それとは別腹で、もう結構自分のエネルギーをぶわぁっとぶち込んだ作品だったんで、すごい特別な思いがあります、はい。

司会: これ映画、舞台が、原作もそうなんですけど、日本で東京であったり、ゾンビが出て来たりとか、柔術と言う格闘技が出て来たりとかってのは特別なものがすごい一杯出て来るんですけど、そういったアイデアはどこから出て来てるんですかね?

花くま: 基本的な三本柱として、「工場」、「ゾンビ」、「柔術」って三つの柱があって、そこで話を膨らませて行ったんですけどね、はい。 三つとも結構大切なものであったので、はい。 ゾンビは、小学生のときに、ロメロの「ゾンビ」がありまして、あれにはもう、ものすごい影響受けてますんで。 ロメロの「ゾンビ」はかなりシリアスなドラマになってるんですけれども、原作の漫画の方は、もうちょっとコメディタッチに。 まぁ僕的には、あれはけっこうハードゾンビを描いたつもりなんですけども、でもロメロの「ゾンビ」ももう、設定がね、すごい良いんですよ。 スーパーに立て篭もって、それを好き勝手にするっていうのは、もう小学生の夢ですから。 そういう感じのあれを小学生のときに見たんで、もうすごい、小学生の心をがっちりあれは掴みましたね。

司会: 掴みましたね。 僕も結構いつも思うんですけれど、今の世の中にゾンビが出て来たら、僕も東急ハンズとかHMVとかに行って、欲しいもの全部盗って来ようかなって思うんですけど...関係ないですね。 そういった中で「東京ゾンビ」映画化っていうお話が来たんですけれども、そのときの率直な意見や感想はどんな感じなんでしょう?

花くま: まぁ素直に嬉しいですね。 でも実際やれるのかな?っていう疑問もありますけど、まぁやれるんだったらありがたい、やってくださいって感じでした。

司会: 監督にお伺いしたいんですが、この[東京]ゾンビを映画に塗り替えて行くという、特に注意された点や苦労があればお願いします。

佐藤: 基本的には、これ一応初監督ですけれど、以前脚本家としては一杯漫画原作の話をいただいてたんですけども、基本はやっぱりその、映画は漫画通りにやるっていうのがモットーなんで、基本は漫画通り。 それでプロデューサーが文句言って来たら、多少変えるっていうだけで。 特に今回は後半に関して、プロデューサーからちょっと文句が出たというか。 それはやっぱりその後半ていうのは格闘技ファンであれば、格闘技のオンパレードであって、そこでは格闘技論がたくさん出て来て。 まぁすごい好きな人なら全然OKなんですけど、一般の人がいきなりその世界を見て、果たして映画としてついて行けるかどうかっていう部分が言われて、確かにそれはそういう部分があって。 後、フジオはずっと原作では子犬と行動を共にするんですけども、子犬を出すのが映画的にすごい大変は大変なんでね。 で、何とか子犬が変わるかなぁと見て行くうちに、子犬こいぬコイヌと思っているときに、「コギャル」と思いついたんですね。 あ!「コ」しか合ってないですね。 コギャルがちょっと出来たら良いなぁっていうふうに。 ちょっとあまり内容を言うとあれなんで。 映画はコギャルですけど、原作は子犬だという感じで。

司会: 僕的にはまぁコギャルの方が良かったですね。
皆様はこれから映画をご覧になるわけなんですけども、ビジュアル的に、お客様にとって印象的だったのが、浅野さんのアフロと哀川さんのハゲという二人の並ぶ、あのインパクトの強いビジュアルだったと思うんですけども、このキャスティングはどのように決められたんでしょうか?

佐藤: 脚本を書いてる段階で、ちょっと行き詰ってるときに、プロデューサーが、ちょっと一回、じゃあ、このハゲとアフロを誰がやったら面白いか考えませんか?って話で。 でもうプロデューサーの腹づもりとしては、アフロは浅野さんに頼みたいというのを勝手に思ってたらしくて、それもまたすごい無謀なこと考えてるなぁという。 それはもうお茶を飲む程度の話だったので、 (佐藤:)じゃあ僕は、だったら最高に良いのは、ハゲは哀川翔ですねと言うと、 (P:)じゃあその二人は、佐吉さん、かつてお仕事したことありますよね?という。 (P:)じゃあ、アプローチしてもらえませんか?っていう話で。 で、するのはいいんだけど、それをしたことで、僕と彼等との関係が今後終わっちゃう可能性もあったんで、すごい勇気は要ったんですけど。 ところが当たってみたら、案外感触は悪くなかったというか。 で、そろそろお互いのこと意識されてて、やっぱり共演をお互いにするってことについては認められたという。

司会: 実際に衣装合わせとかで、初めて被り物をですね、お二方がされたときは、お二方の感触はどうだったんですか?

佐藤: いや、もう浅野さんは、個人的にアフロのカツラを持ってた位の人で、もうスポッって感じなんですね。 翔さんの場合は、そこまでに至るまではかなり悩まれてたんで

司会: あぁ!やはり悩みますね、あれは。

佐藤: ええ、だからカツラ合わせのときは、一種の儀式のような、成人式のような、そういう感じで、おごそかな感じでやって、ヨシ!っていう感じで。

司会: 僕も昨日忘年会があって、アフロを被ったんですけど、けっこうあれイイもんですね。
このお二人のキャスティングなんですが、花くまさんにとってはいかがだったんでしょうか?

花くま: はい、初めて聞いたのは接骨院で、接骨院で会ったときに、映画の話進んでいるという、それで誰に決まるのかな?って聞いたら、実はこの二人だって聞いて、かなりびっくりしましたよね。 聞いたときはポーカーフェイスで聞いてるんですけど、実際は何か電気がビリビリしてましたね。 哀川さんと佐藤さんは「牛頭」でカンヌ行ってるじゃないですか。 浅野さんもカンヌとかベネチアとか色々縁があるから、それで浅野さんと哀川さんと佐吉さんだから、この三人だから、ひょっとして僕カンヌ行けんの?とか想像しちゃいまして、まぁ実際は福岡映画祭だったんですけど。

司会: ちょっと惜しかったということですね。 ちなみに接骨院はまだ行かれてるんですか?一緒に。

花くま: いや、もう行ってません。

司会: すみません。 花くまさんの作品の中で、「東京ゾンビ」に限らず、アフロのキャラクターが印象的なものが数多くあるんですが、このアフロは何か特別な?

花くま: アフロは、自分が小学生と中学生のときの日本の時代がすごい好きなんですよ。 70年半分から82、83年位までの日本がすごい好きで。 その頃はアフロにしてる人は一杯いたなっていう、70年位。 でまぁ実際絵描いてて、ハゲのキャラクターはね、最初に割と出来てたんですけど、まぁそれのコンビでどうしようかなって言ってるうちに、アフロだと丁度絵的にも良いかなって気がして。 で、段々定着して来て、もう勝手にあの二人が一人歩きし始めて、今は二人に働いてもらってます。

司会: 「東京ゾンビ」では柔術が重要な要素となって来るんですけれども、今回この映画では、花くまさんが指導もなさってると聞いているんですけども、その辺りこだわりがあることとか、映画の中であったんでしょうか?

花くま: 最初に映画化の話が来たときに、プロデューサーの人が、何か条件はありますか?ってことになりまして、まぁそのときに、じゃあ柔術のシーンは僕が見ますってことで、それだけ条件にしたんですけどね。 何かあまり原作者がうるさいのはどうかなぁと思ったので、じゃ一つだけ条件出そうかなと思って、それにしたんですね。

司会: 柔術は何か習われていらしたんですね?

花くま: そうです、はい、今もやってますけど。 それでまぁ監修、柔術見ないで任しちゃったら、下手したらもう全然意味合いの違った攻防になっちゃうかなって心配があったので、だから自分でやろうかなと思ったんですけど。

司会: はい、わかりました。
監督にお伺いしたいんですが、映画全体の世界観や、はちゃめちゃなイメージ、柔術の生の真のリアリティをベースとするという上で、特に意識されたことはありますでしょうか?

佐藤: いや、特に、真面目に作ろうかなということだけで。 基本的にふざけてる映画ですし、笑ってもらえるようにしてるんですけども、でも一つ一つの彼等の演技とか芝居とか設定に関しても、あくまで真面目に考えた末の結果というか。 だから基本的に花くまさんの「東京ゾンビ」も、コメディであって、やっぱりかなり感動作、マジな自分の思想をぶつけて、詰め込んだと思うんで、それを笑ってもらえるなら笑ってくださいよという感じですかね。

司会: 漫画、映画それぞれゾンビというものをどんなイメージで描くかという部分で、お二人はどのように考えられてるんでしょうか?

佐藤: ゾンビっていうか、難しいこと言ってもあれなんですけど、ただ皆さんにゾンビの芝居をつけてるときに、基本的にはやっぱりロメロのに出て来るゾンビを踏襲して、僕等スタッフもロメロの「ゾンビ」を何回も見て、あ!こういう歩き方だったっていうのを一応修得した上で現場に行ってるんですけど。 ただエキストラの人達っていうのは、その日初めて来て、いきなり朝から、ゾンビになってくださいと言われても出来なくて。 見本を見せても出来ないんですよね。 結局最終的にたどり着いたのは、そのまま歩いてくださいっていう。 だから、そのまま手をぶら下げて歩いてくれれば、もうゾンビに見えますよと。 でも実は、花くまさんの目から見てる普通の社会自体が、実際もみんなゾンビに見えてたんだろうなというような感じが、後からしたような気がします。

花くま: 撮影見てて、面白いなと思ったのは、エキストラのおじさんやおばさん達がゾンビやってんですけど、恐らくあの人達の人生の中で、全くゾンビと接点がなかった人生を送って来た人達が、こう一生懸命何か、自分なりこう何かにシミュレーションしてやってるんですよ。 それが面白かったですね。

佐藤: 花くまさんも映画の中でゾンビ二役やってますので。

司会: あ!エキストラで?

佐藤: 二役と後ねもう一ヶ所出てるんですけど、それはもう絶対にわからない箇所で出てるんですけど。 これがもし

司会: シーンは3シーン位?

佐藤: そうですね。

司会: 3シーンを探せっていうことですね。

佐藤: その一つはね、もうゴリと、あと途中で変なゾンビで、明らかに花くまさんってわかるんですけど

花くま: 元々その役はやる予定で。 その条件は、ちゃんとした高いパンチパーマのカツラを用意してくださいって

佐藤: 案外色々な条件があるんですけど。

花くま: 二つ出しただけじゃない。 パンチパーマと、柔術を見さしてってこと。

佐藤: そのときに助監督が、 (佐藤:)花くまさんは何か言ってるの?と、 (助監:)いやぁ、パンチパーマを用意しろって言ってるんですけど、ただ者じゃないですよね、みたいなこと

花くま: 東急ハンズのパンチパーマだったら、僕はやりませんよって。

司会: じゃあ危なく映画化されないところだったんですね。

花くま: ちゃんと、ものすごい高いパンチパーマでしてもらったんです。

佐藤: 1シーンは花くまさんの顔じゃなくて、体のあるパーツが、割と映画の冒頭の方でね、出て来るんで。

司会: これから皆さん見るんでね

佐藤: 正解者の方には

花くま: まぁ、帰りに会ったら聞いてください。

司会: それ、普通に見てわかるんですか?

花くま: 知ってる人にしかわかんない。

相田: そうですか、難しいですね。
それでは最後にお伺いしたいんですが、お二人にとって映画としての「東京ゾンビ」はどんなもので、これからご覧になる皆様へのメッセージも込めてお願いします。

佐藤: 初監督ということもあって、多分もう僕の自分の勝手な思いが全部詰め込まれてると思いますね。 実際作ってみたら、やっぱり自分が中学校とか高校の頃に見た、本当に花くまさん好きの「トラック野郎」とか、後は角川映画とか、一見めちゃくちゃなように見えて、やっぱりその出てる人が真剣な映画というか。 それでいてなぜか、滑稽なように見えても、何かちょっとじんわり来る、そういう映画を目指してしまったんだなぁという。 で一見これすごい壮大なスケールで描いているように見えますけど、まぁ非常に、軽いノリではないんだけども、普通に楽しんで、僕的には本当にテレビ東京の昼の2時からやってるような映画を見て、もう飯を食いながら見てる位の気持ちで見てもらえれたら非常に楽しめるだろうなと思いますんで、そういう感じで見てください。

花くま: 漫画の方もすごい愛しい存在だったんですけど、この映画の方も、もう見て行く度に、段々すごい愛しくなって来ちゃって、すごい今は大切な作品になってますね。 それで、男の人は特にそうだと思うんですけど、未だに大人になっても、中学生気質がまだ体の中に、男の子はあると思うんです。 で、そういうのを持ってる人が見たら、かなりグッと来るんじゃないかなと思うんですけども。 それで、後は話変わりますけども、僕が子供の頃は日本の正月には「トラック野郎」があったんですよ、映画館で。 で、すごい良い時代だったんで、今そういう映画がないんで、今回の正月はこの映画がその役目を果たすと思いますので、是非お正月も見てください。

司会: お願いいたします。
楽しい話をありがとうございました。

花くま: あ、あと一言、オールナイトが。 オールナイトがあるんですけど、「東京ゾンビ」と「太陽を盗んだ男」と「トラック野郎」をここでやるんですけど、このスクリーンで「トラック野郎」を見る機会っていうのは、今あまりないと思うんで、是非貴重なあれだと思うんで、見てもらいたいと思います。 「トラック野郎」を映画館で見てると、見てない人生ではだいぶ違うと思うんで。

司会: そこまで言われると、ちょっと見ないわけにはね、行かないと。 オールナイトの方は、佐藤監督と花くまさんのお二人のセレクトした作品ってことで、「トラック野郎」と「太陽を盗んだ男」と「東京ゾンビ」でまたお二人、ゲストとして登場願うようにしておりますので

佐藤: そのときまた司会ですか?

司会: いや、はい、わかんないです。
それではですね、トークショーの方、この辺で終了させていただきます。 本日はありがとうございました。


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更新:2005.12.11(日)
Kaori