TA030906

金獅子の行方は?「座頭市」封切舞台挨拶

[もどる]


ベネチア国際映画祭コンペティションでも大好評を得、受賞への期待も最高潮の9月6日、「座頭市」が日本公開のときを迎えた。全国ロードショーの総本山、有楽町・丸の内プラゼールでは、凱旋帰国の北野監督をはじめ、総勢13名を迎えての豪華舞台挨拶が催された。

ご出席(敬称略)
北野 武 (監督/市)
浅野忠信 (服部源之助)
大楠道代 (おうめ)
夏川結衣 (おしの)
ガダルカナル・タカ (新吉)
大家由祐子 (おきぬ)
橘 大五郎 (おせい)
石倉三郎 (扇屋)
柄本 明 (飲み屋の親父)
THE STRIPES (踊る農民)
坂上みき (司会:TFM)

浅野さんのいでたち
  • 低い位置で一つにまとめた長い髪
  • 濃い目の髭
  • サンドベージュのスーツ(タケオ・キクチ?)
  • 白いYシャツ
  • 黒の革スリッポン
ベネチアのフォトセッション再現


<上映後の舞台挨拶より>

司会 さぁ今日初日を迎えました『座頭市』なんですが、これから舞台挨拶を行いたいと思います。それでは、早速お呼びしたいと思いますけれども、今日はなんと総勢13人もいらしていただいております。順次出ていただきますので、役柄ごとに皆様をご紹介して参りたいと思います。
まずは踊る農民として迫力のタップを見せてくださいました、THE STRIPESのメンバーです。拍手でお迎えください。どうぞ。
それでは代表としてHIDEBOHさんにお話しを伺うことに。

HIDEBOH はい、よろしくお願いします。

司会 はい、よろしくお願いします。今回、時代劇にタップを取り入れるというふうに、最初うかがったときはどうでしたか?

HIDEBOH そうですね、やっぱり最初は、本当に僕等はタップダンスということだけをね、やって来たんで、これはもう一体どういうふうになるんだろうなっていうのがあったんですけど、やっぱり監督のお話し、演出をお聞きしているうちにね、やっぱりすごく画が見えて来て、でもう僕等はもう、本当にリズムパフォーマンス、踊りを創るだけで、本当に楽しくやらしてもらったという感じです。

司会 はい、完成披露試写はご覧になりましたよね?

HIDEBOH はい、拝見させてもらいました。

司会 いかがでしたか?

HIDEBOH やっぱり僕等は踊る農民ということで、お芝居とかはなかったんでね、本当に踊りという部分だけだったんですけど、やっぱり全体を通して、あ、こういうふうになってるんだ!っていうすごく驚きと、やっぱりこう、何て言うんですかね、僕等のダンスも含めて、こうやって世界に発信できるという、本当に日本が誇るエンターテイメントだなというふうに感じました。

司会 はい、監督にお聞きしたんですけど、1秒間にいくつ鳴らすことができますって?それがすごいらしいんですよね。

HIDEBOH (笑)いや、ま、どうでしょ?僕等のやってるタップダンスってのは、足の楽器という感じなんですよね。だから従来のダンスというものに比べて、割と楽器の要素というふうに思っていただければと、はい。

司会 (笑)だから、何回?1秒間に。なんか普通はポン、ポンくらいでしょ?二つくらいなんでしょ?

HIDEBOH あんまりね、数えたことはないんですけど

司会 あ、そうですか。

HIDEBOH ハイ。

司会 なんか1秒/何フレってのにもう入らなくって、もう飛んじゃうんだって言って、監督びっくりなさってましたね、編集するときに、足の方が速くて。

HIDEBOH そうですね、はぁ。でもそうですね、編集のときにはそういうこともお聞きしました、はい。

司会 ということで、STRIPESの皆さんでした。どうもありがとうございました。

HIDEBOH どうもありがとうございました。

司会 続いてです、おきぬを演じた大家由祐子さん、そしておせいを演じた弱冠16歳の橘大五郎さんです。どうぞ。
親の仇を誓うという、おきぬの役だったんですが、迫真の演技でございました。

大家 (笑)そ、そうでしょうか?

司会 はい(笑)。そして橘大五郎さんとは撮影中も非常に仲良しで、本当に姉妹のようになさっていたということを聞きました。

大家 あの、どちらかというと、裏では大ちゃんの方が女扱いされて、私は男扱いされてたから、逆だったんです(笑)

司会 そうですか。今も見ておりましたら、それでもずーっと二人仲良しでねぇ、なんか本当の姉妹のような。姉妹ったって、男ですからねぇ。妹って感じなのか?それとも弟って感じなんでしょうか?

大家 妹って感じです。

司会 あ、そうですか、へぇ。じゃあ、ファッションの話とかしたりするわけですか?

大家 ハイ(笑)

司会 ねぇ、何かの拍子で。
そして橘大五郎さんですけれども、普段は舞台中心...あ!今日はそれはもちろんご自身でお化粧もお着物も?

はい。

司会 ねぇ、普段そうですものね。あの、普段舞台中心でいらっしゃいますけれども、今回映画初出演で、そしてそれも北野武監督の映画ということで、かなり緊張なさったのではないですか?

えぇ、そうですね。初めての映画デビューだったんで、すごく緊張しました。でも舞台の上で勉強出来ないことをすごく学ばせていただいたんで、これからも舞台の上で使って行きたいと思います。

司会 そうですか。はい、どうもありがとうございました。
さぁ続いてです、扇屋を演じられました石倉三郎さん、そして飲み屋の親父を演じられました柄本明さんです。どうぞ。
まず石倉さんですけれども

石倉 ハイッ!

司会 ビートたけしさんとは、浅草時代からの旧知の仲でいらっしゃるんですよね?

石倉 ハイッ!そうです。

司会 今回、監督として北野武さん、印象はいかがでございましたでしょうか?

石倉 まぁあの、浅草時代からですね、天才たけしという名前をですね、欲しいままにしておりました男ですから、それは逆に緊張しましてですね、使ってもらって、果たしてOKは出るんだろうかな?という気持ちで参加させてもらったんですけれども、非常にこう何て言いますか、爽やかな風が吹いておりまして、現場は、非常に何か、私もボキャブラリーがないんですが、何かこう素敵な時間が、何か経ちましたね、ハイッ。

司会 素敵な時間が。

石倉 えぇ、あの何か本当に、まぁオーバーに言えば、生きてて良かったなぁ!という感じですね、ハイ、ハイ。

司会 素晴らしい体験でした?

石倉 えぇ、もう感動しております、ハイッ。それで、しかもそのベネチアに行ったとなればですね、えー...ありがとうございました、本当に。

司会 世界の方が石倉さんが斬られるところをご覧になったわけですから、ベネチアでね、世界中の方が。

石倉 ハイッ。

司会 ハイッ(笑)
そして柄本さん、監督がインタビューで、柄本さんが出て来ると安心するとおっしゃっております。そのようなことを聞かれると、どのようにお思いになるのでしょうか?

柄本 や、それは嬉しいですよね。

司会 はい。柄本さんも武監督の監督作品は初めて?

柄本 出るのは初めてで、それであの武さんの映画は、監督の映画は好きですね。えぇ、非常に好きで、出たい出たいって、何か間接的に色々、自分としては言ってたんですけどね、なかなか出番がなかったですけど、今回、はい。

司会 実際にいかがですか?武監督と一緒にお仕事をされて。

柄本 いやいや、面白かったですね。あの何か、何だろうな、あの非常に現場が何か、静かーに何か進んで行くっていう感じで。何か苦しい現場じゃなくて、淡々と進んでくんですけど、いや面白かったですね。それで何撮ってるかよくわからないんですよね(笑)。何を撮ってるのかよくわからないんですよ。だからまぁ僕はまだ出来上がりは見てないんですけど、僕は試写とかあまり行かないんで。まぁ出来上がってもう少し経ったら、見に行きたいと思いますけど。

司会 はい。石倉さんは素敵な時間とおっしゃってましたけど、柄本さんが表現されるとしたら?

柄本 うーん、そうですね、何かまた機会があったら、本当に使っていただきたいなぁと。

司会 ぜひ次も出たいなと。

柄本 ハイ。

司会 はい、わかりました。石倉さんと、そして柄本さんにお話しをうかがいました。ありがとうございます。
続きまして、おうめを演じた大楠道代さん、そしておうめの甥っ子新吉を演じたガダルカナル・タカさんです。どうぞ。
もう大楠さんは圧巻のタップシーンでした。もう他のどの方よりも楽しそうに踊ってられましたね?

大楠 はい。

司会 楽しかったですか?

大楠 楽しかったです。この年齢になって、こんな楽しいことが見つかるなんて思ってもおりませんでした、ハイ。

司会 でもガダルカナル・タカさんに、オバちゃん!って言われるのどうなんですか?

大楠 まぁ叔母さん役だから、オバさん...

タカ しょうがないですね。

大楠 しょうがないですよね(笑)

司会 わかりました(笑)。
ガダルカナル・タカさんは、大楠さんのタップをご覧になっていかがですか?

タカ いや、正直言いまして、こんなことを言うのは失礼ですけれど、年齢をねぇ、何て言いましても、あの前シリーズの『座頭市』にも出演していて、このリメイク作品にも、まぁリメイクと言っても、これ全く新しい作品ですけどね、こちらにも出ているという唯一の方でございますんで。えぇ、齢もう相当なものでございますよね?その中であれだけ軽快にタップを踏むというのは、ちょっと驚きましたけども。ただあの、ずっと監督のご自宅の地下室でですね、何ヶ月か一緒に練習してましたんです、ハイ。

大楠 そうです。

司会 はい、タカさんはご自身で、助演男優賞は総ナメであると?

タカ えぇ、あのもうそれは間違いないと思うんですけども、実は昨日ですね、監督お帰りになって、一緒に食事をしながら話を聞いたところですね、もう私の心は国内の賞はいらないなと。イタリアでですね、すごい評価を得たらしいですよ。

司会 本当ですか?

タカ えぇ、もう私のシーンを笑いながら見ていたけども、そのシーンの終わりには、皆さんがスタンディングオベーションになっていた。笑いながら立って、拍手して、しかも泣いていたり漏らしていたりと、すごい状況になっているという話を聞きましたんで、これはもしかしたら、向こうで何か賞をいただけるんじゃないかなと思って。やっぱり私の演技はラテン系だったのかなという、ハイ。

司会 どうでしょ?皆さんご覧になって、タカさん。

タカ ありがとうございます(笑)

司会 どうもありがとうございました。大楠道代さんとガダルカナル・タカさんでした。
さぁ続いて参ります。敵役の服部とそしてその妻を演じた浅野忠信さん、そして夏川結衣さんです。どうぞ。
夏川さん、お気に入りのシーンはどこでございましょうか?

夏川 私の部分はあまり、あれなんですが、全体的に好きです。

司会 (笑)好きですか、わかりました。私のシーンはあまり、はい、病気の役でしたのでね。浅野さんは?

浅野 (・_・)?

司会 あ、いや、夏川さんに聞いたんですけど(笑)あの、印象は?夫婦として。

夏川 浅野さんのですよね?

司会 えぇ、浅野さん、どんな?一緒に仕事なさって。

夏川 浅野さんは...(笑)

司会 言葉少なで(笑)。どうもありがとうございます。
浅野さんは何かタカさんのシーンが大変お気に入りだというふうに聞きました。

浅野 えぇ、そうですね。今度は僕が答えても?(笑)。

司会 スイマセン、すいませんややこしいことを。

浅野 ハイ(笑)。そうですね、もう撮影中は、ほとんど他の方のシーンがどういうふうに進行してるのかわかんなかったんで、映画見たときに、すごい面白いなぁと思って。

司会 はぁ、そうですか。タカさんのどのシーンが一番お気に入ってらっしゃるんですか?

浅野 やっぱりあの、僕がこう何人も何人も斬った後で、真似されてるとことかは、あんなふうになってたのか(笑)と思って。自分がもうすごい一生懸命やってたんだけど、あぁ裏ではこんなことが起ってたんだなぁと思って、びっくりしました。

司会 そうですか、ちょっと悲しかったなと。

浅野 ハイ(笑)

司会 タカさん、浅野さんがそのようにおっしゃっておりますけども。

タカ 今回はですね、ここに限らず色んなプロモーションの場所がありましてですね、出て来たときには必ず一回ボケろ!って、あれほど教えてあるんですけどね、とうとう今日まで一回もボケず。とりあえずこれから帰って、軽くシメにかかりたいと思います。

司会 (笑)ありがとうございます。
さぁ、そして最後は、昨日ベネチア国際映画祭から帰国なさったばかりでございます。北野武監督です、どうぞ。
ベネチア国際映画祭、どうもお疲れ様でございました。昨日はまだ帰られたばかりだということで。ベネチア映画祭とはまた別の、ベネチアでビエンナーレ展が行われておりまして、そちらでのオープン2003特別賞というものも受賞なさったそうですね。おめでとうございます。

北野 どうもあの、カンヌのときの『菊次郎の夏』のときが、あれだけ盛り上がった上に何もくれねぇで、二度とカンヌなんか行くか!って言ったら、急にフランスから勲章くれたりなんかして。で今度は、表彰式なんか出てらんねぇや!って言ったら、急に賞くれたんで、思わず三日間残ろうかな?と思ったんですけども、それもまた図々しいんで、帰って来ちゃったんですけれど。まぁ一番ありがたいのは、映画祭っていうのは意外にあの、世界の映画の関係者に見せるっていうのがあって、それで好評なら、その映画を買って、自分の国で流そうというような品評会なんで、品評会でまぁかなり売れて、そしたらフランスのディストリビューターのところに色々買いが殺到したってことは、まぁ成功で、今度は何か賞の発表があるらしいけども、まぁそれは単なるおまけみたいなものだから、まぁ成功といえば大成功ということで、ありがとうございました。

司会 もう一言いただいてもろしいでしょうか?あの、ベネチアではこちらにも映像が来ていたんですけども、スタンディングオベーションとか、ものすごい反応が良ろしかったですね?お客様の反応が。

北野 あ、はいはいはい。まぁ斎藤のママがジャンボと全日空をチャーターして、400人のサクラを持って行ったんですが、なかなか、日本にいる外人を全部時間で500円で雇ったんですけど、どう見てもイタリア人じゃないっていうのがいっぱいいるんですね。鼻の曲がったのとか色の黒いのとかいるんですけど、どうにかイタリア人らしくメイクして、ありがたいことでござんした。

司会 ありがとうございました。今夜いよいよ賞の発表があるということでございますので、皆様も楽しみにしていただければと思います。


[もどる]

更新:2003.09.07(日)
obuchi@yk.rim.or.jp