TA091010

祝公開!「ヴィヨンの妻初日舞台挨拶

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超大型台風18号一過の10月10日、日比谷TOHOシネマズシャンテにて、「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ」の初日舞台挨拶が行われた。

ご出席(敬称略)
根岸吉太郎 監督
松たか子(大谷佐知)
浅野忠信(大谷穣治)
広末涼子(秋子)
妻夫木聡(岡田)
堤真一(辻)
伊武雅刀(吉蔵)
室井滋(巳代)
軽部真一(司会:フジテレビ)

浅野さんのいでたち
  • 肩までのふんわりカール/濃い目の髭
  • 襟とカフスの白い、ストライプシャツ
  • 黒い地模様のネクタイ
  • 紺地にピンストライプのダブルスーツ
  • 黒の革靴

<2回目上映前の舞台挨拶より>

司会: さぁ、それでは、豪華な皆さんが勢揃いしたところで、これから舞台挨拶、まずはメガホンをお執りになりました根岸吉太郎監督、ご挨拶をよろしくお願いいたします。

根岸: お集まりいただき、本当にありがとうございます。 なかなか、今日の入場券はね、ゲッツするの大変だったと聞きます。 皆さん、本当にご苦労様でございました。 これからご覧になるんで、あんまり映画の内容は言えませんけれども、丁度1年前、映画の撮影の真っ最中でした。 1年かかってですね、この席にこうやって、素晴らしい出演者と一緒にこう立てるってことを本当に嬉しく思ってます。 ぜひとも、ゆっくりですね、僕らがゆっくり時間をかけて作った映画なんでですね、ゆっくりとご覧ください。 どうも今日は本当にありがとうございました。

司会: はい、ありがとうございます。
では、続いてキャストの皆さんということになります。 小説家の妻、一生懸命夫を支える妻であります、佐知を熱演されました松たか子さん、お願いいたします。

松: こんにちは、松たか子です。 今日はご来場いただきまして、ありがとうございます。 やっと今日、公開にたどり着くことが出来ました。 これから皆さんご覧になるので、私も余計なことは言いませんけれども、私自身とても、関わって幸せな現場でした。 妻でいた時間はとても幸せでした。 みんなが一生懸命才能と力を出し合って作った作品をこれから、どうぞごゆっくり最後までお楽しみください。 本日はありがとうございました。

司会: ありがとうございます。 松さん、これからご覧いただく皆さんに、まぁここを特に見てもらいたい、ワンポイントアドバイスみたいなものがあったらお願いしたいんですが。

松: いやぁっとぉ、んっとぉ、えーっ、どうでしょう? えー私は...特にないですが、何でしょうね?出来るだけ、今目にしていらっしゃる我々の姿を忘れて、映画の世界を楽しんでいただければ良いですし、やっていた側としては、出て来る男性、皆さんそれぞれとても魅力的でしたので、どの男性がどういうふうに女性を見て、どういうふうに生きているのか、女性から見た三者..4人か、四者四様の男性像を楽しんでいただけると思いますし、女性もそれぞれたくましい、生きることにたくましい女性なので、何かその姿を、ポイントじゃなくて申し訳ないんですけれども、それぞれの役柄に愛情を持って、目をやっていただければなぁと思います。

司会: ということで、全体的にね、見ていただきたいところがたくさんあるという。 あの椿屋という飲み屋さんでの佐知の生き生きとした雰囲気とか、ぜひ皆さんにご覧いただきたいと思います。 松さん、どうもありがとうございました。
では続きまして、その夫でございます、売れっ子小説家なんですが、色々と私生活に関しては様々な問題があったりするわけです、大谷役、浅野忠信さん、お願いいたします。

浅野: どうも皆さん本日はありがとうございます。 今ここに立って色々新しく、何ですかね、感じることがあったというか、というのは、その太宰治さんのことをずっと好きで、ファンとして熱心に追っかけてらっしゃる方がいたとしても、もう太宰さんはいないんだなぁと思うと、とても不思議な気持ちになりました。 それでも、こうして、僕等も一生懸命太宰さんの作品に取り組んで、太宰さんの作品というのもまだ新しい形で発表されるということはすごく素敵なことだと思いましたし、僕がそこに関われたことにとても感動しております。 この作品で本当に新たな太宰治さんの世界に触れてもらえるのであれば、それは本当に僕にとって幸せなことなので、よろしくお願いします。

司会: はい、今年が太宰治生誕100年、浅野さん、大谷というのは実際ほとんど太宰治本人と言っても良いわけですよね?

浅野: そうですね、僕自身はそのつもりで取り組ませていただきましたけれども。

司会: けっこうそれはやっぱり役作り意識されましたですか?

浅野: そうですね、まぁ今僕自分でも言ったことでもあるとは思うんですけど、太宰さん自身もきっとその色々な新しい側面というか、そういうものを自分の作品に取り込みたいなというふうに感じてたように思いましたし、僕自身がこの役に向き合うときも、やっぱり新たな面をやっぱり普段は応援してくださってる皆さんに見てほしいなと思ってたので、そういう意味では、そうですね、そういう自分にも当てはめたりして、はい、新しい面を出せればと思ってました。

司会: 浅野忠信さんです、ありがとうございました。
さぁ続いては、その大谷の愛人役、秋子を演じられています広末涼子さんです。

広末: お休みの日に足を運んでいただいてありがとうございます。 今回の役をいただいて、今迄経験したことのない役で、愛人役というのを初めていただいて、私で良いんだろうか?何で私なんだろう?と思ったんですけど、もっと大人の色気のある人じゃなくて大丈夫なのだろうか?と思ったんですけど、精一杯自分の中からない色気を引っ張り出して演じさせていただきました。 本当にどのキャラクターの人も魅力的で、正直、脚本を読んだときに、もう少し、もっと淡々として、下手したら眠くなっちゃうような映画なんじゃないかな?なんて私は思っていたんですけど、すごくあっという間に、自分はこの映画を見て、終わってしまって、それはやっぱり、すごく人物の魅力と、本当に監督の演出が素晴らしいんだなぁと思って、この作品に関われたことをすごく幸せに思っています。 今日は楽しんでお帰りください。

司会: はい、ありがとうございます。 ご自身ではね、色気がないとおっしゃってましたけど、本当に色気たっぷりでございまして、素晴らしい愛人秋子がそこにいます。 特にあの丸眼鏡の秋子がとても可愛くキュートで、堤真一さんも絶賛の丸眼鏡姿をぜひこれから目に焼き付けていただきたいと思います。 広末涼子さん、ありがとうございました。
さぁ続いては、佐知に思いを寄せる青年、岡田役、妻夫木聡さんです、よろしくお願いします。

妻夫木: 今日は初日にお越しいただき本当にありがとうございます。 僕はこのお話をいただいて、根岸監督と松さん、浅野さんとお芝居がしたいと、ただ本当にそれだけの思いで、スケジュールがなくてちょっと迷惑おかけしつつも参加させていただきました。 現場は本当に、とてもじっくり、ゆっくり撮って行く現場で、本当に日本映画!っていうような、そういうものを感じさせるような雰囲気の素晴らしい現場でした。 出来上がった作品を見ても、本当にその空気感というのがすごく出ていて、どこかこう小説を読んで、いつの間にか自分がその世界観に引き込まれるような、そういう感覚に、見ていてなるような作品になってると思います。 本当に、さっき涼子ちゃんが言っていたけれども、一人一人のすごく人間像というのがすごく際立っていて、素晴らしい役者さんたち、そしてスタッフの方々が熱く感じました。 僕自身、俳優やって来て10年になるんですけど、まだ全然自分は日本映画のことはわかっていなかったんだなぁって、そういうふうなことも感じて、良い勉強させてもらったなと思ってます。 逆に僕もありがとうございましたと言いたい感じです。 ぜひ楽しんでください。

司会: ありがとうございました。 たいへん岡田というのはピュアなね、青年役、そのピュアな妻夫木さんというのが一つの今日の見どころということになりますかね?

妻夫木:  そうですかね? だと良いですけど。

司会: はい。

妻夫木: 来年30になるんで。

司会: お!

妻夫木: あの...あれ?

司会: いや、皆さんびっくりして声も出ないという。

妻夫木: まぁちょっと、最後にあがいてみようかなと思いました。

司会: 30歳になってもたぶん学生服を着られるというね

妻夫木: 大丈夫ですかね?

司会: 学生役が出来そうなという気が、十分に残ってると。

妻夫木: 心は頑張れると思うんですけど。 ぜひ東宝の方々にもそれをわかっていただきたいと。

司会: そうですか、はい。 ちなみに「天地人」の第41話は明日の夜放送でございます。

妻夫木: 上杉陥落

司会: 上杉家がたいへんなことになってるとね、かなりピンチを迎えてるんですけど、どうなるんでしょうか。 ぜひご期待いただきたいと思います。
さぁ続いては佐知に対して、昔ね、ちょっとこう関係があって、その佐知のことを忘れることが出来ない弁護士、辻役、堤真一さんです、よろしくお願いいたします。

堤: 皆さん今日は本当にありがとうございます。 ちょっと数日間だけの撮影というか、短かったんです、スケジュールがなくて。 その中でですね、本当に素敵な映画に参加出来たと、本当に思ってます。 とにかくまず最初に撮影所に行ったときにびっくりしたのが、美術の素晴らしさだったんですけど、それがすべて映像にも反映されてて、何の違和感もなくその映像に溶け込んでて、その中に人間がいるっていう、本当にその無理矢理その時代を描いたというよりは、本当にそこに人が生きているという映像になってたと思うんです。 僕自身もすごく、見て楽しむことが出来たし、色んなことを感じることが出来た映画なんで、皆さんもね、今から見て、色々感じていただければと思ってます。 よろしくお願いします。

司会: はい、ありがとうございます。 途中堤さんが登場するとまたね、スクリーンがぴしっと絞まって来るという感じでございます。 あの椿屋は、けっこう美味しいものがたくさん用意されていたと

堤: はい?

司会: 今、終わったと思ったんでしょ? 終わったと思って、妻夫木さんと今、そうですね?私語を

堤: はい。

司会: 良いんですけどね。 何かおいしいものは実際食べられました?椿屋で。

堤: えっとね、いや、僕はそういう食べるシーンはなかったんです。

司会: あぁ、そうですね。

松: ええ、良い匂いはぷんぷんしてましたね、はい。

司会: 相当美味しいね、「かもめ食堂」とか「めがね」のフードコーディネーターの飯島さんという方がね、かなり美味しい料理を用意されていたという話も聞いております。 そんな美味しい雰囲気もこれからスクリーンで感じていただければと思います。 堤さん、ありがとうございました。
さぁ、ではその椿屋を経営しているというか、働いていらっしゃる方々ということになりますね、まずは椿屋の女将巳代役、室井滋さん、お願いいたします。

室井: 皆さん、本日はお休みのところ、ありがとうございます。 え、何で笑うんですか? 私、デビュー、今年で2...9年目?8年目?になるんですけども、こんなに長いことセットの中にずっといるっていう役柄はおそらく初めて、1ヶ月ほとんど椿屋っていう居酒屋の中でいまして、だいぶお酌するのとか上手になって、他人にあまりお酌するのは嫌いなたちなんですけれども、もう毎日お客さんにお酌をしてて、あぁ何か、着物を着てても、こういうふうに、この角度でお酒っていうのは注げるんだなとか、今回色んな、大人として色んなことを学びました。 あとセットが本当に素晴らしくて、横浜のラーメン博物館に毎日行ってるような感じだったんですけど、もしかしたら画面の中で、映ってるかどうかわからないんですが、目の良い方はきっとおわかりになるかなと思うんですが、これ戦後間もなくの話ですよね?監督、ですよね?

根岸: はい、えっとね、昭和21年、22年の話。

室井: あぁ、良いんですよね? だから物の値段がかなり違ってまして、今食べ物の話が出ましたが、冷奴とか目刺しとかいう、まぁかんたんなものが出て来るんですが、大変それが煮物だったりすると、非常に美味しいんですけれども、その値段がかなり、あ、こんなに!というものもあれば、以外に現代と変らないじゃんというものもあります。 まぁそういう楽しみ方も、広い画面なのでね、ちょっとこの辺でそういうの見てみるかっていう方もいらっしゃると思うので、お楽しみください。

司会: はい、ありがとうございました。 そういうね、細かいところも楽しむというね、そういう映画の見方もございますけれども。 一生懸命それを探して、台詞が入って来ないとかっていうことがないように、その辺はお気を付けになってご覧いただければと思います。 室井さん、ありがとうございました。
さぁ、そして椿屋の主人、吉蔵役、伊武雅刀さんです、よろしくお願いします。


伊武: どうもありがとうございます、お越しいただきまして。 子供の頃からすごく本を読むのが好きで、それで、あっさりしたすごく良い話ばかり読んでいたときに、太宰治という作家に出会いまして、そこから太宰、芥川龍之介ってのは僕の中で、まぁ所謂文学界で言うスーパーアイドルというかね、大好きな作家だったんです。 で、今でもそうなんですけど。 で、その太宰さんが原作の脚本に出られるっていうのが、シナリオを最初に読んだときにすごい感動しちゃって、うわぁ、太宰の作品に出られるんだ!っていうのを、まず一番最初に思いました。 さっき室井さんも言ってましたけど、椿屋という空間がメインで、椿屋のシーンが相当出て来るんですけど、私の役はお酌で注いで前面に出てる室井さんの奥さんよりも後ろの方、セットの加減でなかなか映らないところにいるんですね。 でも何かやってます、はい。 ご覧いただくとわかるんですけど、小さな窓がありまして、その奥が厨房になってますから、そこで色々、お芋の煮っ転がしをひっくり返したり、焼き鳥を皿に盛ってたりとか。 でもあんまり見なくても良いですよ。 そっち見ちゃうとね、手前の方の芝居見られなくなっちゃうんで。 ただ努力してるということだけはね。 それと、原作の「ヴィヨンの妻」というのは、一応叩き台になってはおりますけれども、田中陽造という脚本家が素晴らしい他の色んな要素を、太宰さんのを盛って脚本を作りました。 ただ、ご覧になって、もう一回太宰の「ヴィヨンの妻」というものを再確認したいなぁという方は、私、個人的な話ですけれども、新潮社から「ヴィヨンの妻」一字一句朗読いたしまして、発売されておりますんで、ぜひお買い求めいただけたらありがたいなという、個人的なお知らせでございます。 ごゆっくりご覧ください。

司会: はい、どうもありがとうございました、伊武雅刀さんでした。
さぁ、それでは改めて最後にということになりますけれども、根岸監督に〆のお言葉をいただきたいと思いますが、折角ですから監督、じゃあ松さんと浅野さんの間に入っていただいて、そしてこのトロフィーをですね、ちょっと監督盛っていただくような感じ、折角ですからね、はい。 モントリオール映画祭、本当に改めましておめでとうございます。

根岸: ありがとうございます。 ご覧のようにですね、こんな素晴らしい出演者に恵まれて、お陰でですね、これにやっと手が届いたんだと思います。 今回のスタッフも素晴らしい仕事をしてます。 非常に頑固でですね、みんな一級の技術を持った人間が自分の最上のものをですね、このスクリーンの中に注ぎ込んでると思います。 僕はですね、指示をするというよりも、まぁまぁまぁその辺にしとけ!ってことでずっと行ってバランスを取ったつもりです。 本当に恵まれたお陰でこういう賞もいただけで、おまけに今日こうやってみなさんと一緒に初日を迎えられるのを、本当に嬉しく思います。 映画は、もちろん今言ったように素晴らしい出演者と素晴らしいスタッフがいなければ出来ませんけれども、最後はですね、観客の皆さんに見てもらって初めて映画っていうのは成立するわけですね、そういう意味で、今日10月10日はこの「ヴィヨンの妻」にとって誕生日です。 今日誕生日に立ち会ってくださった皆さん、本当にありがとうございました。

司会: どうもありがとうございました。


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更新:2009.10.11(日)
Kaori