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凱旋!「劔岳点の記」完成披露舞台挨拶

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雨混じりの6月1日、すでに47全都道府県で試写会キャラバンが行われていた「劔岳点の記」が都内に戻り、有楽町国際フォーラムにて、大々的な完成披露試写会が行われた。 

ご出席(敬称略)
木村大作 監督
浅野忠信(柴崎芳太郎)
香川照之(宇治長次郎)
松田龍平(生田 信)
宮崎あおい(柴崎葉津よ)
仲村トオル(小島烏水)
小澤征悦(玉井要人)
笠井信輔(司会:フジテレビ)

浅野さんのいでたち
  • ふんわりと流したセミロング/うっすら髭
  • ダークグレイの三つ揃いスーツ/ポケットチーフ
  • 白シャツ
  • ベージュと黒のチェックネクタイ
  • 黒革靴

<上映前の舞台挨拶より>

司会: それではお一人ずつご挨拶をいただきたいと思います。 まず始めに、陸軍参謀本部陸地測量部測量手、柴崎芳太郎、浅野忠信さんです。

浅野: 皆さん、本当に今日はありがとうございます。 浅野忠信です。 えっとですね、この作品を撮影してる間、本当に色々なことがありました。 それを本当に乗り越えられたのは監督の力強い信念のお陰だと思っております。 この撮影を通じて、本当に自分も役者としても、一人の男としても色々なことを身に付けることが出来ましたし、それと同時に、本当に素晴らしい映画に参加出来たんだなという実感を持っております。 それをこうしてたくさんの人に、今日見てもらえることは本当に嬉しく思っております。 どうか楽しんで行っていただけると嬉しいです。 今日はありがとうございます。

司会: 続きまして、測量隊案内人、宇治長次郎、香川照之さんです。

香川: こんばんは、香川です。 「劔岳点の記」はキャスト、スタッフが本当に一丸となって、これ一度しか出来ないような奇跡的な努力の末に今日の日を迎えた、奇跡的な一本です。 毎朝3時半だったり、4時だったりする時間から、真っ暗な中で、ヘッドライトをそれぞれの頭に点けて、一つの列になって、山肌を何時間も登って行く、カメラや全部を背負ったスタッフたちが、それを背負って登って行く後姿が、僕は今も忘れられない。 そのスタッフたち、そしてキャストたちの努力が本当に今後大きく報われますよう、皆様には本当に一人でも多くの方に見ていただきたい、それを本当に切に願っております。 どうぞ6月20日の公開以降、またよろしくお願い申し上げます。 今日はありがとうございました。

司会: 続きまして、陸軍参謀本部陸地測量部測夫、生田信、松田龍平さんです。

松田: 今日はありがとうございます。 今回、この作品を撮る中で、すごく色々経験させてもらいました。 そしてすごく良い映画が出来ました。 僕はすごい幸せです。 ありがとうございます。

司会: 続きまして、柴崎芳太郎の妻、柴崎葉津よ、宮崎あおいさんです。

宮崎: こんにちは。 私は撮影は三日間で、山にも登っていません。 なので、このようにここに立たせてもらえてることが申し訳なく、という思いもちょっとあったりするんですが、素晴らしい作品が出来上がって、この作品に自分が少しでも関われていることをとても幸せに思っています。 ぜひ楽しんで行ってください。

司会: 続きまして、日本陸軍大尉、玉井要人、小澤征悦さんです。

小澤: 皆さんこんにちは、小澤征悦です。 自分はですね、この木村大作という日本を代表する撮影監督が、初めて監督をされるという、その作品に、本当に参加出来ただけで幸せだと思っています。 おそらく日本映画史に残る一本になると僕は信じています。 皆さん、楽しんで行ってください。 ありがとうございました。

司会: そして、日本山岳会、小島烏水、仲村トオルさんです。

仲村: ありがとうございます、仲村です。 本当に、おそらく日本一過酷な撮影現場で、決して大袈裟ではなく命懸けで頑張った木村組のスタッフの努力が報われるように大ヒットしてほしいと思っています。 皆さんも応援してください。 よろしくお願いします。

司会: そして最後にこの作品のメガホンを執りました木村大作監督です。

木村: えー、今日はちょっとあがっております。 呂律が回らないかもしれないんですが、これから始まる映画は、ここに出ていらっしゃる俳優さんたちにもこだわり、北アルプス、立山連峰、劔岳近辺の大自然にもこだわり、本当の場所で2年間に200日山に籠り、撮った映画です。 当然、東京の部分もありますが、8割は山の中です。 これから始まる映画を見ながら、皆さんも一緒に山に登ってください。 よろしくお願いします。

司会: 監督がおっしゃいました本当の場所を撮るというのは、主人公の柴崎芳太郎が測量のために登った山のその場所まで本当に登り、その順番通りに撮影をしたという、そういう意味でございます。 そういう意味でも、まぁ映画業界からも信じ難い映画というふうに言われております。
さて、皆さんにお話をお伺いしたいんですが、やはり2年間に渡って、長期に渡るこの撮影が行われて、そしてCGを全く使っていないというこの映像の中で皆さんはどのような、今回体験をされたのか、どのような思いでいらっしゃるのか、大変だったこと、忘れ難いエピソードなど教えていただきたいと思います。 まずは浅野さんからお願いします。

浅野: はい、そうですね、本当に山小屋での、籠もっての撮影というのは、本当に僕、生まれて初めてだったんですけど、まず携帯電話とかそういうものは一切通じませんし、それでまぁもちろんその部屋を与えてはいただいたんですが、部屋に鍵とかは付いていませんから、本当に、そうですね、すぐみんなの顔が見える状況の中で毎日を過ごしていて。 僕は決してそういうことが嫌いではなかったんですけど、それはやっぱり本当に山においてはすごくありがたいことで、いつでもスタッフの顔が見れて、例えば「今日は本当に足が辛かったよね。」とか、そういう話をしてる中で、すぐに何かこうみんなが「こういうものがあるよ。」って、ちょっとした薬を貸してくれたりとか、後は色々困ったときには、すぐ何かもうみんなが助け合って、顔を合わせていつも一緒にいられるというのが、非常にこの撮影においては重要だったので、毎日毎日、さっき香川さんも言ったように、朝から4時間とか3時間とか登って、それで下りるときも3時間、4時間歩いてたので、その何か疲れを共にした仲間とずっと過ごしてるっていうのが、本当にこの映画にとってプラスになったんだなというのは思います、はい。

司会: 中でも、これはちょっとキツかったなってのはありました?

浅野: そうですね、やっぱりあのまぁ第一期の撮影のときなんですけど、池ノ平という所がありまして、僕らは大体劔沢という小屋に泊まってたんですけど、そこから池ノ平という所がまぁ歩いて9時間くらいかかるんですね。 で撮影のために9時間歩いて、それも普通の道ではなくて、けっこう険しい山道だとか、雪渓といって、雪が積もりに積もった道になってるとことか、色んな所を歩いて、9時間歩いて現場に行くという経験は初めてだったんで、その日はさすがにちょっとこたえましたね、はい。 

司会: 香川さん、お願いします。

香川: はい、あのまぁでも時間が経ってみると、本当に辛かったことは山とあるんですけど、本当に幸せな現場だったなというのは今実感してます。 劔岳に結果として二度登ることになったんですが、その南壁というちょっと下の所までは計6度登ってるんですけれども、本当にそのことも含めて、貴重な体験をさせてもらったなと思って、何か幸せです、今は。

司会: そして、仲村さん、お願いします。

仲村: いやキツかったのは...浅野君と香川君と龍平くんの前で僕がきつかったと言うのはちょっとはばかられるんですが、やっぱり最初に、一昨年の秋ですね、最初に登ったときは、あそこまで険しい道だという心の準備が出来ていなかったので、それがきつかったですね。 途中で三日間だけ東京に戻って、実は次女の幼稚園の運動会のために三日間だけ家に戻る予定だったんですけど、これもう一回登れって言われても無理かな?ごめん、パパ帰れないかもしれないって言うくらいその日はきつかったです。

司会: でも戻ったんですね?

仲村: 戻りましたね。

司会: そして松田さん、いかがですか?

松田: すごく辛いと、辛ければ辛いほど、すごく冷えた弁当が美味しかったり、些細なことが本当に幸せと感じるっていう、何か色々気付くことが多くて、本当に良かったなって思ってます。

司会 そして小澤さん、宮崎さんは地上での撮影部隊でございましたけれども、小澤さん、いかがでしたか?

小澤: 本当、この流れで行くと僕は、僕も登って大変だったと言いたいんですけども、自分の役は頭丸めて、陸軍のね、バックアップとして今回出させてもらったんですけれども、本当に、実は心の中でね、登りたかったなって気持ちがあったんです、この映画を見るまでは。 でも、この映画を見たら、やっぱり登らなくって良かったなって。 それくらい迫力がある映像に仕上がってると僕は思います。

司会: そして宮崎さん。

宮崎: はい、私も登っていないんですけど、出来上がっている現場に途中から参加するのって、ちょっと不安があったりとか、なかなか馴染めないまま終わってしまうんじゃないかなっていう不安があったんですけれども、現場に入ってみたら、皆さんすごく温かく迎えてくださって、何か三日間だけだったのに、もうちょっとこう関わっていたいような、とても豊かな撮影現場で、あの木村大作さんの、あの映画の現場を経験出来たということがとても大きな財産だなと思います。

司会: 先ほどの記者会見に宮崎さん以外の方々が参加しまして、とにかく木村さんの現場でのリクエストはきつかったと、激しいリクエストが、まぁこの業界では有名なんですんで、大変だったという話がありましたが、宮崎さんに対しては木村監督はどうでした?

宮崎: すっごい優しかったです。 すっごい優しくて、かっこよくて。 手元を撮ってるときに、ここに大作さんがいて、カメラを覗いてたんですけど、その横顔を見て、今でも忘れられないです。 本当にかっこよかったです。

司会: 監督、いかがですか?一言。

監督: えー、監督をやってますが、この二人、浅野さんと宮崎さんの夫婦像はですね、僕は何も演出してません。 二人で作り上げた夫婦像です。 素晴らしい、僕の理想の夫婦になっていただいてるというふうに。 いずれにしてもですね、宮崎さんは人の話を聞くときに、じーっとつぶらな瞳で見るんですよ。 で、何せ年が大分離れてるんで、そんな目で見られるとドキドキしちゃうんで、あまり見つめないでくださいって言った覚えがあります。

浅野: 監督は、宮崎さんがアップの日に髭を剃って来ましたね? 山ではもうボーボーで、そんな身だしなみなんかどうでも良いって感じだったんですけど。

司会: まぁ唯一の心の拠り所といいましょうか、そうだったかもしれませんね。

浅野: ええ。

司会: そんな色々な思いの中でこの「劔岳点の記」は完成いたしました。

(フォトセッション)

司会: 最後に木村大作監督から一言お願いいたします。

監督: (オフマイクで)皆さん、今日 それぞれの視点はあると思うんですが、この映画を見ると何かを感じていただけるという自信が、我々作った側にはあります。 もし何かを感じていただけたのなら、この映画を応援してください。 よろしくお願いします。

司会: ありがとうございました。 監督、キャストの皆さんに拍手をお願いします。


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更新:2009.06.22(月)
Kaori