[番外編]DSK090730

大ヒット御礼!「劔岳点の記」凱旋舞台挨拶

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公開1ヶ月を過ぎて、大好評ロングラン中の「劔岳点の記」が、7月29日付で、ついに観客動員数200万人、興行収入22億円を突破した。 色々な意味で熱い7月30日、丸の内TOEI 1にて、異例の大ヒット御礼凱旋舞台挨拶が行われた。 木村監督にとっては、何と89回目の舞台挨拶!?

ご出席(敬称略)
木村大作 監督
香川照之(宇治長次郎)
松田龍平(生田 信)
?(司会:MONGOL初日と同じ♀)

<上映後の舞台挨拶より>

司会: 大ヒット御礼凱旋舞台挨拶ということで、それではこれから皆様にご挨拶を頂戴して、色々なお話をうかがって参りたいと思います。
では始めに、山の案内人、宇治長次郎役を演じられました香川照之さんです。

香川: 皆さんこんにちは、香川です。 今日は朝早くから映画をご覧いただき本当にありがとうございます。 お陰様で大ヒットしているようでございます。 本当にありがとうございます。 今日はありがとうございます。

司会: では続きまして、測量夫であります生田信役を演じられました松田龍平さんです。

松田: 今日はありがとうございます。 たくさんの方に映画館に足を運んでもらったようで、とても嬉しく思います。 ありがとうございます。

司会: そして、伝説の活動屋でいらっしゃいます、本作品が初監督作品となりました木村大作監督です。 お願いいたします。

木村: ちょっと客席が暗くてわからないんですが、今日はずいぶん若い方が来てらっしゃるようですね。 龍平さんのファン、香川さんのファンかなぁと思うんですが、全国どこへ行ってもですね、もうちょい年齢の上の方ばっかりこの映画を見てるんですよ。 その方々で200万人を突破したと、まだまだ、年齢を下げれば、400万人くらい行くのではないかと思ってるんですが、段々人間、この映画はですね、最初、今日もいらっしゃってますが、坂上順、亀山千広という巨大なプロデューサーの元でやったんですが、最初はですね、この映画は当たらなくても良いんだと、どうしてもやりたいんだと、この映画を、そういうことで始まったんですが、その二人のプロデューサーに、二度と、もう当たらなくても良いなんてことは言わないでくれと言われて、ずーーっと我慢してたんですが、今日200万人を突破したということで、何かそのことがふっと思い出されて、つい口走ってしまいましたが、人間とは弱いもんだと思います。 段々欲が深くなるんです。 200万人? そんなもんじゃ、「Rookies」はなんぼ入ってんだよ!? 冗談じゃないよと。 「アマルフィ」、フジテレビやってますが、何かそっちの方が入りそうなんですよ、今。 えー、負けてられないと。 どうしても、今日こんだけ若い方が来てるってことは、ちょっとあと20歳くらい年齢を落とせばですよ、200万が400万になると思ってます。 ありがとうございました。

司会: ありがとうございました。 以上、木村節が段々ノッてまいりましたけども、監督に、じゃあちょっとお話うかがいたいんですが、監督

木村: ...

司会: こちらです。 客席の美しい女性を眺めてらっしゃるようで、大変失礼いたしました。 あの、初日舞台挨拶からもう一ヶ月以上経つんですが、大ヒット御礼凱旋舞台挨拶、今日のこの日が来るのは予想されていましたでしょうか?

木村: 予想してるわけないじゃないですか。 やりたいことをやったんですよ。 それが、一人でも多くの方が見て欲しいという気持ちは非常にありましたが、ここまで来るとは本当に思ってませんでした。

司会: 本当に、でもたくさんの方に見ていただいて。 あの、映画が撮り終わって、妥協も反省もない、やりたいようにやった、要するに、素直に見てくれということだったんですが、ずいぶんたくさんの方に、山の関係者も含めてご覧いただいたようですが、反応はいかがだったでしょうか?

木村: それを僕の口から言うのは気恥ずかしいんですが、絶賛の嵐ですね。

司会: ですよねぇ。 田部井淳子さんとか。

木村: あ、そういう意味では、田部井淳子さん、女性で初めて世界でエベレストを登った方ですね、今69歳で、35歳のときにエベレストに登ってるんですが、その人と対談したんですが、その人がこう言っていただけました。 僕等は3000mですと、田部井さんは8000mを超えてるじゃないですかと言ったら、田部井さんはですね、何を言ってるんですかと、あなたたちは3000mで映画を撮ったんです。 我々にしてみれば、それは8000mを超えてることをやってらっしゃるんですって、何かそういうコメントをいただきまして、僕はそのときに不覚にも涙を流しました。 そういうプロ中のプロ、三浦雄一郎さんも、直接ではないですが、何かの雑誌に絶賛していただいてます。 そういうプロ中のプロはですね、この映画を非常に高く買っていただいてるんですが、中途半端に山をやってる、ちょろちょろっとやってる、そういう人たちには、あそこがおかしい、ここがおかしい、ここがおかしい、あそこがおかしいってね、自分はさも登山に熟練した人間を誇示したいのか、言うんですが、最初の頃はそれに全部反応して、いちいちこういう調子で反論してたんですが、まぁ、そう思うんだったら、そう思えやと、あなたたちはごく少数の人間だというような気持ちに最近はなってますね。

司会: そうですよね。

木村: しゃべってるとずっとしゃべってるから

司会: あ、いやいや、そろそろ次の話題に。 あの、皇太子殿下ご臨席の試写会がありましたが、監督はお隣でずっとご一緒されていましたが、いかがだったんでしょうか? たいへんなお褒めの言葉をいただいたっていうふうにうかがっていますが。

監督: あの...2時間19分、横に座ってたんですが、僕はもう本当に緊張しっ放しで、映画を見てるんですが、何か上気するんでしょうね、眼鏡が曇って、画面は一切見えませんでした。 ただ、何か横向くわけに行かないんで、横を向くとですね、後に宮内庁の方がずらっと並んでて、お前何するんだ!って、飛びかかられそうなんで、何となく雰囲気をうかがってるとですね、2時間19分、皇太子殿下は1mmも動かないで、映像を凝視してました。 終わった途端に、「素晴らしい映画、本当にありがとうございました。」と言っていただいて。 その後、懇親会で、香川さんとか松田さんとか浅野さんと色々お話したんですが、非常に興奮してましたね。 えー、何と言うか、やっぱり山が好き、それと音楽ですね。 自分がビオラやってることもありまして、そのバロックの題名、それから編曲の仕方、例えば、ヴァイオリンをチェロに変えましたねと、パイプオルガンをヴァイオリンに変えましたねと、そこまで全部見抜いておりました。 後で宮内庁からお手紙をいただき、また殿下のお言葉をいただき...いずれにしても日本の天皇家はですね、万世一系ですからね、2000年続いてるんですよ、そんな皇族は世界におりません。 やっぱり自分は何かそういう人に対して何かを感じますね。 自然と、この私が90度のお辞儀をしておりました。 そういうことですかね。

司会: 簡単に感想を述べられないようなお話でございませんか、ありがとうございます。 たいへんな山の、本当に美しさが見事に映像に映っているんですが、撮られる方、そしてスタッフ、キャストの方、本当にたいへんな撮影だったと思います。
香川さん、初めてこの作品のお話が来たときに、これほど大変な作業になるとは思ってらっしゃらなかったんじゃないでしょうか?

香川: それは正直、思ってません。 もちろん、たいへんになるとは思いましたけど、どのくらい大変になるかは、本当にやってみないとわからなかったですね。

司会: 山登りというのは?ご経験

香川: ないです。 はい、なかったです。

司会: そういう資質は問われなかったんでしょうか? 出演に当たって。

香川: あの、まぁ耐えられるか耐えられないかという資質だけが問われたような気がします。 演技も問われませんし、山登り的なことも問われませんし。 あの、木村大作という人間的なものに全部耐えられるか耐えられないかという、そういうので選ばれたと思っております。

司会: 香川さんはこれまでにお仕事でご一緒されたことがあるんですよね?

香川: はい。

司会 十分、じゃあその辺のところは覚悟の上で?

香川: はい、覚悟してやって来ました。

司会: でも、今だから言えるとっても大変だったことって、何か挙げるとするとありますか?

香川: そうですね、いやまぁ、すべて大変で、色んなところで今回言わしていただいて、お聞きになった方もいると思うんですけど。 本当すべて大変な中で、まぁでも一つ、うん、今日は初めてこれは言うのかな?今までの撮影とまったくこの映画が違うものが何かあるとすればですね、普通の撮影は、まぁどんなにヒットしてる映画も、ヒットしていない映画もですね、俳優っていうのは、待ってる時間っていうのがあって、待ってる時間にただ待つわけですよね。 どんな気持ちで待っても良い、どんな姿勢で待って良いんですけど、大抵、控え室、良い控え室があったりする良い現場から、でも悪い状況で待ってなきゃいけないときでも、いろんなふうに待つんですけど、まぁ、そろそろ行けるかという状態を聞いて、こう受動的な感じで、じゃあ現場に入りますというのが俳優なんですけれども、この「劔岳点の記」という映画に関してはですね、雲がものすごい曇ってて、ものすごい雲の中にいるときに待ってるんですけど、最初の1時間くらいは普通に待ってるんですよ。 その内に、ただ待ってたら絶対に雲は晴れてくれないってふうに思って、監督がまず

「祈れ、お前等ぁ!」

っていうやつが始まって、本当にこうみんなが頭の中でお祈りし出すんですね、それでも雲は晴れてくれないわけです。 そうすると、僕とかもう本当に荷物をたぶん背負ってないからだと、こっちがもう「本番行きます!」って姿勢を見せないと晴れてくれないと思うようになって、2?Kgある荷物をですね、ずーーっと背負ったまんま立ち位置に立って、空を凝視して、「もう僕たち行けるんで、お願いします!」みたいな感じでずっといて、そこから1時間とか平気で待つんですけど、こんなにもういつ回っても良いような状態で待ってる現場って今までないと思うんです。 今後もないと思うんです。 もっと普通は楽に待てるもんですから。 そのうちに、まだ晴れないと監督が

「お前達、一つのことを、思いつくことを考えろ!」

とか言って、何か同じことを考えないといけないような感じ、で何を考えるかは、具体的なことは言わないんで、頭の中でこう「....(-_-)」って、シ−ンとした状況の中で考えなきゃいけないんですけど、そうすると監督が

「お前等、幸せとは何だ?」

そうすると、その答えについて無言でこう「...(-_-)」手荷物を背負いながら考えたりしている内に時間が経って、そうすると、やっぱり5時間くらい待つとですね、ぶわぁっ!と雲がとれる瞬間が来るんですよ。 夏八木さんが行者で祈って、僕が横に近付いて来て、浅野さんがスケッチをするという、別山頂上なんですけどね、前半にあると思うんですけど、あのシーンはまさにそれで、荷物を持って、本当に待ってたなぁと思って、まぁそんな現場は、どんなにヒットしている映画でもないと思うんです。 あの「○ー○ーズ」とか「○○○○ィ」とかですね、色んな映画がヒットしていますが、監督、でも絶対にこんな思いで撮っている映画はない! その意味では本当に、400万人お願いします。

司会: ありがとうございました。 そんなことがあったんですか。
松田さんも、じゃあ当然そちらには参加をされていたわけですか? お祈りのところは。

松田: 僕ですか? 僕はあんまり。

香川: 龍平さんはですね、全員祈ってるようなときでもですね、しっかりと休まれてる超大物で、大作さんが唯一”先生”と呼んでいたのが松田さんで

司会: え!?監督が龍平さんを

香川: 「龍平先生は?」
「龍平先生、よろしくお願いします!」


っていう感じでですね。 まぁこれは、でも僕が本当にすごいと思ったのは、どういう状況でも、松田龍平さんは自分のスタイルを崩さないというのを、この男は本当に大物だなぁと思って。 最後監督は

「優作さん」

って呼んでましたからね。

司会: お父上の名前が、そうですか。

香川: はい、本当にもう大きかったです。

司会: 松田さん、木村監督は怖くはなかったんですか? 監督のこと怖いとは思わなかったんですか?そうすると。

松田: いや、別に、思わなかったですね。 すごい素敵な、はい。

司会: 松田さん、思い出して、今一番大変だったこと、どんなことでしょうか?

松田: もう映画公開する前からずっと大変だってことを、色んなとこに言って来て、今もやっぱり色んな方に、撮影どんなだったの?大変だったんでしょ?って言われて、もう何か大変だって答えるのが嫌になって、全部フルCGですって言ってるんです。 逆に大変だったって、ハイ。

司会: お二人の俳優人生にとってもとても思い出深い作品になったことと思いますが、木村監督、この作品が最後と思って臨むということだったんですが、でもそろそろ次の作品作りなどは考えていらっしゃるのではないでしょうか?

木村: この映画は、ただ一度の監督、「八甲田山」に始まり、「劔岳点の記」で俺の映画人生は終わるんだと言って、本当にそのつもりでやってました。 そいつが出来上がりました。 それで封切られました。 その前に試写会を47都道府県回りました。 色んな人にお会いしました。 また人間とはこんなに弱いもんかと思う昨今なんですが、もう1本くらい良いかなぁと、そういうふうに思っている最中なんですが、僕の理想はですね、僕はそこで育ったんで、高倉健主演、降旗康男監督、撮影木村大作という場所に戻りたいのが夢です。 ただ、この二人が中々やらないんですよね。 そうするとですね、来年からちょっと生活の方が困るんで、まぁもう1本くらいやってみようかなぁという気持ちがふつふつと沸いてはいます。

司会: 楽しみにしております。
香川さんと松田さん、木村監督からまた声がかかったら、もちろんご一緒になさいますよね?

香川: あの...監督が松田さんのことをとても気に入られてたんで、多分松田さんが主演になると予想しております、はい。

司会: その場合、香川さんは?

香川: まぁあの、”赤紙”なんでね、まぁ「誰かが行かんかったら道は出来んちゃ」と映画の中では言いました。 あんなに言っておきながらね、誰かが行かねば映画は出来ないって思わないといけないと思うんですけどね。 抽象的な言い方かもわかんないですけど

松田: 逃げようとしてるんですか? フェイドアウトしようとしてる?

司会: またこの顔合わせで新しい作品の登場をお待ちしたいと思います。本当に大ヒットおめでとうございます。
それではここで写真撮影にお三方も並んでいただきますので。

木村: その前に一言だけ、すぐに終わりますから。
柴崎芳太郎が劔岳の頂上を極めてから102年目になると思うんですが、その間劔岳の頂上に上がった方がですね、100年のうちに10万人もいないと思うんですよ。 何万人かは頂上を極めてると思うんですが、今日皆さんはその頂上をこの映画の中で極めたわけですから、そのことをもう一回良く家に帰って反省して、多くの人にこの映画を伝えて欲しいと思うんですよ。 もう関係ないよ、もう関係ありません。 よろしくお願いします。

司会: まぁ、お客様に反省を促すなど大変な舞台挨拶になってしまいました。 今一度ご案内いたしますが、昨日で200万人、観客動員突破いたしました。 お祝いの意味で素敵な写真を撮っていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。

(フォトセッション)

司会: では監督から結びに今一度お客様にメッセージをお願い出来ますでしょうか? 200万人の皆様にありがとう、そしてこれからお越しいただきます置く悪様に向けて、どうぞご挨拶をお願いいたします。

木村: さっき全部しゃべっちゃったつもりなんですが、本当に200万人の方々、今日来ていただいた方々、本当に感謝感激です。 ただ、この映画はですね、非常に今までもリピートが多いんですよ。 3回、4回、僕が聞いたのでは13回見たっていう人がいます。 そういう形でですね、非常にリピートが多いんで、まだ100万人くらいしか見てないんじゃないかな?と思ってるところがあるんで、せひまた声高に多くの方に見てもらうように協力していただきたいと思うんです。 でも本当に今日のお客様は年齢が非常にバラエティーに富んでて嬉しいんですよ。 、特に前の方の方はお若いし、後ろの方はちょっと見えないんですが、そういう方々がこの映画を見て触れた方が良いと思うんです。 どう思います? あなたたちの世代がこの映画を見た方が僕は良いと思うんですよ。 だから同年輩の人に宣伝して欲しいんですよ。 何かまた最後泣きのお願いになっちゃいましたが、本当に、中々上手くしゃべれない人間なんで、心は非常にきれいな、純粋な人間です。 その心から皆様に本当にありがとうを言いたいと思います。 どうもありがとうございました。

司会: どうもありがとうございました。


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更新:2009.08.01(土)
Kaori