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祝完成!「誰がために」舞台挨拶

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名残の夏の8月29日、スペースFS汐留にて「誰がために」が完成披露された。海外で「MONGOL」撮影中の”テムジン”浅野も急遽帰国、舞台挨拶に駆けつけた。

ご出席(敬称略)
日向寺太郎(監督)
浅野忠信(民郎)
エリカ(亜弥子)
池脇千鶴(マリ)
小池徹平(少年)
襟川クロ(司会:映画パーソナリティ)

浅野さんのいでたち
  • しっかり日焼けした肌
  • 下ろした長い髪
  • たっぷり髭
  • 水色のシルクシャツ(カンヌ'03で着用のもの)
  • グレイのパンツ
  • 黒のラバーソール
マルチーズ!?

<上映前の舞台挨拶より>

司会: それでは皆様に最初ご挨拶をお願いいたします。

日向寺: 本日は暑い中をお越しくださいましてありがとうございます。キャストに恵まれた作品になったと思います。あと一人でも多くの方々にこの映画を見ていただければと思っております。よろしくお願いします。

浅野: えー皆さん、今日は本当にありがとうございます。あのですね、最初にこの話を監督に誘っていただいたとき、本当に脚本を見させていただいて、とても涙が流れました。それでもう絶対にこの役をやらせて欲しいと思うようになりまして、それでやらしていただきました。すごい自分自身の中で思い入れのある作品なので、じっくり楽しんでもらえれば嬉しいです。ありがとうございます。

エリカ: 私も最初に脚本を読ませていただいたときに、すごく感動しました。台本よりも、やっぱり想像してたより、深い作品になってると思います。本当に素晴らしい監督に出会えたことを誇りに思っています。

池脇: 池脇千鶴です。今日はどうもありがとうございます。私は出ておきながら、まだ何の答えも掴めてません。どうか意見を聞かせてください。

小池: どうも、小池徹平です。本日はありがとうございます。今回が初出演映画ということで、すごい緊張してたんですけど、こんな豪華なキャストの皆さんや監督さんでさらに緊張して、緊張した中での撮影で、今もすごい緊張してるんですけど、とにかく一生懸命頑張りました。こんな素晴らしい作品に出会えて、すごい本当嬉しく思っています。皆さんぜひじっくり楽しんでください。

司会: ありがとうございました。
きっとこれからご覧になって、えっ!イメージが全然違うぅっ!って100人の内100人の方が思うと思うんです。今日は皆さん本当に個々のオリジナリティのファッション、そして雰囲気をこのステージの上で皆様にお披露目してるわけですが、本当に別のようなキャラクターを演じられてる素晴らしい俳優さんたち、そして今日はちょっと嬉しさの余り涙が出そうになっている監督。
(監督に)大丈夫ですか?今のご気分はどうですか?ご自分の初めての作品が出来上がって、どういう状況の中でいらっしゃるんですか?今、浮いてるみたいな感じですかね?緊張してるんでしょうか?

日向寺: 緊張してますね。今日初めて一般の方々に見ていただく日なので、どのように感想を持たれるか..

司会: ちょっと心配ですか?

日向寺: えぇ。不安と言ったら良いか..

司会: 一言一言重みのあるお話の仕方をなさいますよね。もうすでにマスコミの皆さんはご覧になっていて、すごく手ごたえのある作品だということなんですけど、まさかこんなに若い監督がお撮りになったとは。この作品のテーマを選ばれた理由は?

日向寺: 一応これは少年犯罪を扱ったというふうになってますけれども、少年犯罪に限らず、非常に日常的に起こる事件の数々、大きくは戦争を含めて、テロ、戦争を含めて、暴力が身近な時代に生きているということを感じたのが出発点です。それでこういう誰にでも起こりうる可能性のある話を作りました。

司会: そしてその作品を、初めてシナリオをお読みになったときに、浅野さんは熟考して選ばれるじゃないですか?作品を

浅野: はい。

司会: ねぇ。今回はその引っかかったのは、最初はどこにあったんですか?

浅野: やはりその、今監督がおっしゃってた、誰にでも起こり得る話というか、そこが意外と僕は今まで色々お仕事させてもらった中で、意外とそういうふうな話はやらせてもらうことがなかったので、そこがやっぱりすごく自分の中で引っかかったというか、あ!こういう話って僕やったことないし、内容もすごく悲しいことなんだけど、あり得るよなってことで、そこでなんか自分の中でぐっと来るものがありましたよね。

司会: 割りとこの前半のカラーと後半のカラーとガラッと変わって来る、見ごたえのある部分があるんですけど、最初は浅野さん、すごいふわぁーんと、とっても温かい感じの青年、田舎にもったいないなぁなんていう雰囲気だったんですが、そのふわぁーんとした人間味の溢れる役作りというのはどこかでなさってますか?

浅野: いや、特にこう、ふわぁーんとしたようなことしたいなという思いはなかったですけれど、書かれてる脚本の中で、自然とやっぱり前半そうなってしまったというか、ええ。

司会: カメラの使い方が本当にプロフェッショナルでしたけど。

浅野: 以前「地雷を踏んだらサヨウナラ」っていう映画でカメラマンの役をやらせてもらったので、どっかまぁそれはちょっと参考にさせてもらったというか、ハイ。

司会: ということで、ぜひ皆さんもその写し方とかね。あの、目がね、本物のカメラマン、写真家だったですよ。

浅野: あ!そうですか。

司会: えぇ。

浅野: いやぁ、ありがとうございます。

司会: すごいなぁ!なんて思って。ご自身好きですか?こう写真をお撮りになるのは。

浅野: そうですね、やっぱり面白いなと思います、ハイ。

司会: ありがとうございます。
そしてエリカさん、現場で監督から何かアドバイスを受けるとか、役についてお話伺うとかっていうことはあったんですか?

エリカ: 現場でというよりも、撮影に入る前に色々考えて欲しいっていうことで、基本的に撮影に入ってから何か指導があったっていうふうなことはなかったです。

司会: 気持ちはどういう状態でいらっしゃるんですか?こういう作品にお出になるときの女優さんは。

エリカ: ん?

司会: すごい明るい、今風のお嬢さんじゃないですか?エリカさんは、それがやっぱりこう、ねぇ?

エリカ: ..えぇ。

司会: 余り語ることが、セリフ少ないですよね?エリカさんは。

監督: えぇ。

司会: そういう部分では役を演じるときに

エリカ: まぁセリフはそんなに多くはないんですが、よく撮影中に、自分が撮影が入ってない日に現場に遊びに行って、池脇千鶴ちゃんと浅野さんがあまり仲良くならないように、邪魔をしに行ったりはしましたけど。そういう話の方が思い出深いですね。楽しい現場だったので。

司会: あら?そうなんですか、何か意地悪しちゃったんですか?お二人の間に。

エリカ: えぇ。

司会: どんな具合にですか?例えば。

エリカ: うーん、具体的に話すと、映画の内容なので。

司会: 触れてしまうんですか?

エリカ: 「近づくな!近づくな!」って念を。

司会: なるほど。

浅野: すごい遠くの方で見てんですよ。こう、池脇さんと話してたりして、普通に笑いながら話してると、何か視線を感じたりして、パッと見ると遠くの方でこうやって見てて、あ!っと思って。

司会: 何かこう目線というか、視線がグァッ!と刺さるんですか?

浅野: 視線がこう。

エリカ: でもそれも楽しかったでしょ?

浅野: 楽しかったです。

司会: 現場ってこういう雰囲気だったんですか?監督。

日向寺: こういう雰囲気だったですね。

司会: 楽しい?

日向寺: えぇ。

司会: そうですか。そんな中で池脇さんの演じられるマリ役、これがまた微妙で。

池脇: そうなんですよね。きっとねぇ、見ていただいたらわかると思うんですけど、はっきりと何かが伝わる、わかりやすいような役ではないですよね。

司会: そうですよね。でもそれがすごく明るく、でも逆にここにぐっと来たりする、女の子ならそういう経験あるのかもしれないですよ。

池脇: そうですね。何か女の人に見てもらうと、やっぱりどこか通じるところあるかな?って思いますね。

司会: 池脇さんは好きな人が出来ると、もう真っ直ぐそのまますべてを捨てて飛び込みます!みたいなタイプですか?それとも向こうから来るまで待ってる?

池脇: 来たら行くみたいな。

司会: 来たら行く?自分からは行かない?

池脇: わかってから。

司会: はぁー、そうですねぇ。ていう顔がちらっともしかしたらあるかもしれないですね。
さて、そして徹平さん、映画とまったく違うキャラクター、テレビで見るのともまた違います。難しかったところはありますか?

小池: そうですね、何か始めに監督と話したときに、徹平君はそのままじゃなくて、本当普通に徹してくれって言われて。すぐ感情を出しちゃう人間なんですけど、あまりもう感情を出さずに、淡々とやってくれみたいなことを言われて。僕すぐ笑っちゃったりとかするんで、すごい現場でも意識してあまり笑わないように気をつけてやりましたね。

司会: そうですか。撮影するときに、ふと別の役どころですよね?徹平ちゃんの場合は、この三人の仲とは。

小池: そうですね。

司会: そういうときは浅野さんは冷たくしていたんですか?

浅野: いえいえ。なんとか若者に近づこうと。

小池: ファミレスの話とか、一緒にしたりとか。

浅野: そうですね。

司会: はぁっ!?

浅野: 話をすごく聞かしてもらって、今度一緒に行こうよ!って。

司会: あら、良い先輩ですねぇ。

小池: すごい優しくしてもらって。

司会: 何か演技に関してはアドバイスされましたか?

小池: 特になかったです。

司会: ないですか。
本当浅野さん、すごく貫禄出て来ましたよね?近頃。

浅野: 髭のせいです、髭。

司会: 髭ですか。それ髭は何でですか?

浅野: これ、次の作品でちょっとまぁ。

司会: もしかしてイエス・キリストか何か?それに黒いし。

浅野: えぇ、もう全部役のために。

司会: すごいですね、何かもう色んな役が出来たりする。
さぁ、この中で一番おしゃべりだった、現場、どなたでしたか?一番のおしゃべり。

浅野/池脇: (エリカに視線)

司会: エリカさん?

エリカ: いやいや、あの遠くから見てただけで。基本的にあまりしゃべらないので、大人しいんです。

浅野: イヤイヤイヤ。

司会: 終わってからみんなとワイワイワイワイという感じで?
うーん、そういう姿を、監督横からじっと見ながら、ねぇ、良いキャスティングだなって。

日向寺: だと思います。

司会: 皆さんを頭の中に浮かべると、すぐトントントントンっていうふうに顔とお名前が出て?

日向寺: そうです。

司会: 違うって言えないですね。でも選んだ理由っていうか、選ばれた大きなポイントのところを教えてください。監督が浅野さん、そしてエリカさん、池脇さん、そして徹平さん。

日向寺: 僕がそういうこと言うのは非常に

司会: いえ、大丈夫ですよ、お作りになったんですから、演出家ですから。

日向寺: むしろ脚本を読んで気に入ってくださったんで、出ていただいたという感じなんですけど。

司会: では皆さんに伺いましょう。脚本を最初に読まれたときに、え゛ぇっ!?と思った方、または最初から、私は出たい!この役なら、っていうことで、その細かい部分を教えてください。徹平さんから、はい。

小池: そうですね、あの脚本を読んだときに本当に今までやったことのないような、一番暗い部分の自分というかね、あの...人を殺しちゃう

司会: まぁー、ネタバレ!でも大丈夫です。

小池: そうですね、これだけはちょっと言いたかったんですけど、そういうまったく自分にイメージのないことをやる人間だったので、ちょっと新しいことにチャレンジしてみようかなっていう、はい。

司会: で、その役を演じられて、どうでしたか?

小池: あの、すごい、始めは戸惑ってはいたんですけど、徐々に自分でもやっててノリノリになってやってました。

司会: ハマっちゃいましたか?

小池: ハマっちゃいました。人殺しにハマったとかじゃないですよ、ハイ。

司会: こういう映画の世界にね

小池: えぇ、映画の世界に。はい、ハマりましたね。

司会: ねぇ、良かったですね。
そしてもう大ベテランですよ、池脇さん、若いんだけど。

池脇: そんなことないですよ。私は正直読んで迷いました。これは本当に細かい話で、私がもらったときと映画になったときの脚本の内容がちょっと違うと思うんです。それで色々と考えて、考えて、しかしこの脚本が、何て言うんだろうな?大好き!って程ではないんですね、大好きじゃないのにどうしても惹かれるものがあって、私これ出た方が絶対良いんだと思って、こんなに気になるならと思って。で監督にお会いして、そしたらどうも信頼してもらえてるし、自分も出来そうだったから、あ、選んで良かった!と思ってやったんですね。

司会: で完成バージョンはご覧になりましたよね?

池脇: あ、見ました。

司会: どうでした?

池脇: 何ていうのかなぁ?いや、良い映画だなっていうか、これ以上にあんまりうまい言葉が浮かばなくって、本当にさっきも言ったんですけど、本当に他人に聞いてみたいですね、うん。

司会: では、終了後ぜひ池脇さん宛てにですね、色々感じられたことをいただけると嬉しいと思います。ありがとうございます。
エリカさんは?

エリカ: 私は以前黒木和雄監督の「美しい夏キリシマ」に参加させていただいたときに、日向寺監督が助監督で、監督デビューをするというお話を伺ったときに、ぜひ参加したいというのと、あと脚本を読んで、読む前に、浅野さんにお願いしようと思ってるんですっていう話を聞いたときに、何が何でもやらなきゃいけないっていう。素晴らしい俳優と監督とスタッフと良い時間が過ごせましたし、とても嬉しかったです。

司会: 浅野さんは新しい発見何かありました?一緒にお仕事して。

エリカ: 何かすごくイメージと違ったんですね、えぇ。

司会: イメージが?

エリカ: あの映画の中でいつも作品を拝見させてもらうとき、何かクールな感じなのかなぁ?って思ったんですけど、けっこう、亀の話をしたりとか

司会: カメ?

エリカ: あのペットの話を。亀の話をしたりとか。何かちょっとテンポの加減が違った、(池脇に)ね?

池脇: 全然違った。

エリカ: うん、素敵な人です。

司会: もっとクールで、あんまりお話しないで

エリカ: 恐い方かなって思いました。

司会: 言われてますけど何か?

浅野: えぇ、そうですね、亀を飼ってて、逃げちゃいましたけど。

司会: 亀は何て名前ですか?カメさん。

浅野: その飼ってたヤツは「京都」って名前だったんですけど、もういなくなってしまいましたね。あの日向ぼっこさせて、散歩させてたら、気付いたらもういなくて。

司会: 映画のことですが、気持ちがどんどん揺れて行くでしょ?

浅野: ハイ。

司会: そういうものって、演じるときに役者魂を揺さぶるものなんですか?

浅野: いやまぁ本当はもう、すでにそこにそういう脚本があって、気持ちが揺れ動いてるのはよくわかってるはずなんです。それ以上にこう動かそうとしちゃう自分がいるんですよね、何か。それはでも良いのか悪いのか自分ではわからないんですけど。やっぱりだからそれだけ魅力的な役だったんだなっていうか。だから冷静ではいられなかったとこが多分、ええ。

司会: そうですか。出来上がりはご覧になって?

浅野: えぇ。まぁだから冷静にちょっと見れないっていう部分もあって、やっぱりラストシーン見てもらえばわかるんですけど、ラストシーン見たときに、僕はやっぱり救われたというか、あぁ!っていうふうに、はい。

司会: さぁそれでは最後に日向寺監督、ぜひここのところはよく見てくださいね!というこだわりの

日向寺: 内容はちょっとお話できませんが、やっぱり今浅野君が行ったようにラストですね。ラストをどういうふうに見ていただけるかだと思います。

司会: 最後は、もちろん皆様は最後までご覧になるっていうことでしょうけど、何か感じましたらぜひ監督または俳優さんのところにご一報くださいませっていうことで、本当に、私でも掴めない部分があったりするので、もう一回見ようかなと思っています。ということで、「誰がために」監督そして出演者の皆さんでした。どうもありがとうございました。


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更新:2005.08.30(火)
Kaori