TA021220

「水の女」だかなんだか トークショー@シネマライズ

[もどる]


12月20日夜、渋谷シネマライズでの「水の女」のトークショー第3弾についにアサノが登場!お相手は「幻の光」以降数々の衣裳を担当されて来たスタイリスト北村道子さん。エネルギッシュ姐御の全開トークは「水の女」にとどまらず...

ご出席(敬称略)
浅野忠信 (宮澤優作)
北村道子 (衣裳)
伊藤 高 (司会:プチグラパブリッシング)

浅野さんのいでたち
  • 顎までのワンレン&髭
  • 緑のトレーナー
  • 紺のストレートジーンズ
  • 長い紐ベルト
  • 黒の革スニーカー
  • モンブランの腕時計
この後、このままの姿で深夜ライブに突入。


伊藤 まずですね、映画のお話しも「水の女」以前に、元々お二人けっこう長くお仕事していらっしゃるというふうにお聞きしてますが、元々は何から作り出してられますか?

北村 「幻の光」っていう映画のときに、最初一緒になりました。

伊藤 是枝監督の作品ですね。

北村 ……(笑)緊張しちゃった。

伊藤 (笑)今日は一応、北村さんが浅野さんに聞くっていうのがテーマなんです。

北村 嬉しい(笑)

伊藤 浅野さん、最初北村さんとお仕事やったときどういう印象、どういう感じでしたか?

浅野 どんなだったっけな?イヤイヤイヤ、でも、強烈な印象だってことは確かです、やっぱり。

北村 アタシは全然憶えてます。えっとねぇ、まず抱き合っちゃったの。自分にとってフィットする被写体がそこにいるって、すごいことじゃない。おまけにね、靴が同じ物だったの。

伊藤 履いてらしたんですか?

北村 そう。で、いや、持ってたのね。その時は履いて来なかったの。で「僕同じの持ってる」って言われて、ね?

浅野 そうですね。

北村 で1cm小さかったの、アタシの持って来た靴が、確か。それで、それをあげるから、そのキタナイの持って来てくんない?って、ずっと借りてたの。

北村 そうです。

北村 しっかり憶えてます。ずーっと。

伊藤 もう10年前くらい?

北村 そんな(笑)

浅野 イヤイヤそんな前じゃない。えー...

伊藤 あ、95年位の...

北村 全然憶えてないです、そういうの(笑)。ただ、美しい奥さんとの間に子供が生まれたってことだけは知ってたんですよね。

伊藤 その、ちょうど撮影中に?

浅野 はぁ(・_・)?イヤイヤイヤ、とにかくお腹に出来てるか、生まれてすぐくらい。

北村 どっちかだよね。そこは忘れちゃったけど。

浅野 ええ。

北村 あの社交辞令として、そういう挨拶したの憶えてる。

浅野 ハイ(笑)

伊藤 北村さんから見て、浅野さんの魅力というのはどういう?

北村 私(アタシ)はね、とにかくね、そのあの「水の女」じゃない、さっき言った映画何でしたっけ?自分でも笑っちゃうんだけど、そのときはたまたま江角マキ子さんを介して知ってたのよ、是枝監督から言われたんだけど。最初はちょっと、ああいうちょっと文学的なのって、ちょっと悩むじゃないの。で、ずっと、自分が作ってきた衣裳に照明とのことがけっこう悩んでた時だったから、ちょっと自分にはできないって断ってたんですよ。そうしたら監督が何回目で、「このVTRを見ていただけませんか?」って言われたのが、浅野さんの作品だったのよ。で、一個見て、すぐ電話しちゃって、「受けます!」って感じで(笑)。うん、そのぐらいに曖昧な役だったの、確か、それで4本の彼のフィルムを見て、だから演技をしてるのかしてないのかっていうのがちょっと理想の、自分にとっての役者だったんで、それでちょっと引き受けたんですよね。

伊藤 あの浅野さんからご覧になって、北村さんの衣裳とかスタイリングってどういう印象を?

浅野 いやぁ、もう(笑)、すごいいつもとんでもない感じで。でも北村さんの中でちゃんとにこう、なんですか、色んなことを話ししてもらうと、納得できることがほとんどだし、それで、僕、だから本当にいい加減だから全部みんなに任してしまうんですけど、それで、なんですか、衣裳合わせとかでみんなの反応を見るのがすごく楽しみで、北村さんが、だから持ってきたときのみんなの反応がやっぱすごく面白いし、そういうなんかこう、あの、北村さんそう思ってないかも知んないんですけど、たぶん現場の人にとってはけっこうショッキングなところがあるんですよね。それを僕はショッキングなことがいっぱい起って欲しいから、それで僕にとってもショッキングだし。あとすごい憶えてるのが、「殺し屋1」のときに、あの女物の着物を、あの決して劇中で着るわけではないのに(笑)、用意してもらってて、それがなんか僕すごいびっくりして、あの、そういう僕がやらなくても、北村さんが役作りさしてくれるっていうか、それ着ることによって、なんかこうちょっと高まっていくから、そういうことやってくれるスタイリストさんっていうか、そういう方いなかったんで、もうびっくりしましたね。

伊藤 浅野さんのイメージと、それから北村さんが選ばれるポイントっていうのは、どういう接点で考えていらっしゃるんですか?

北村 映画のときですか?映画のときは、とにかくシナリオを読みますよね、まずそこで役者は消えてるんですよね。まったく、私も最初はそう思ってなかったんですけど、現実的に映画っていうのはシナリオが渡された段階で、主役二人位しか決まってないんですよ。で、だいたい衣裳合わせを始める2、3日前に全キャストになるんですね。で私がやっぱ、こう、あのそういうことで、人の名前があんまり記憶できないタイプなんで、自分のシナリオの読み方で、もうキャラクター作っちゃうんですよ、頭の、頭脳の中に。それが大概間違ってないんですよね。間違ってないっていうか、思い込んじゃうから。これはこれに決まってる!って思っちゃうから。で同時限にもうドローイングしちゃうんですよ。

伊藤 デザイン画を?

北村 ええ、デザイン画を作っちゃうんです、もう、紙の中で。でそれで全部こう閉じちゃった段階で、空想でもう映画が動いてく。でその間に、たまたま衣裳合わせのときに、浅野さんだったら、浅野さんがまったく、自分自身のことですよ(笑)、他の人はどう思ってるかわからないですよ、まったく70点はイっちゃってるなっていうときあるんですよ。

伊藤 70点?

北村 ええ。だからそれがなぜかっていうのは、すべてにおいてですよ、靴から、上から、肉体まで、あの自分にとってですよ、他はちょっと考えれませんので、これがこう動くとどんなにいいんだろうかなって思うことが70%フィックスされているって思ってるんですよね。で思ってないと出来ないんです。

伊藤 えっと、ということは「水の女」の場合はですね、シナリオを読まれて、で今回の衣裳を考えられたかと思うんですけど、そこにはどういう経緯が?

北村 ああ、これはあるんですよ、けっこう。あの、あるんですよ!っていうんじゃないけど(笑)もうね、本人にもしつこいくらい言っちゃったんだけど、実は浅野さんが着ている着物に関しての、あの柄は全部アタシのテキスタイルなんです。30年前位の作品なんですけども、でまぁスタイリストやると思ってないんで、ずっと日本画を描いてて、プリントしてて、全然採用されないくらいに捨ててて、捨てたんだけれど自分のものだからずっと大事にしてた物をその作り直したんですよね、浅野さんのサイズで。だから要所要所みんな破れてるんだけども、うん、でもそれはちょっと違った意味で自分の思い入れ。私の中の「水」っていうものと「火」っていうものと、その監督の四大元素の中で、まぁ日頃からアタシは浅野さん自体が火の男だなと思ってたんですよね。だから大体火を、こう思いながら描いて行くと、最終的には溶け合うっていうことで、青色からグリーンにこういうふうに出来るのがあるといいなと思ってたのが、たまたまそれがあったんで、ちょっと使わしていただいたんですよね、無視しちゃって。

伊藤 浅野さん、こういったお話しを直接、じゃぁ北村さんと、やられながら?

浅野 ええ。

伊藤 毎回、大体ご相談しながらやっていく感じとかもあるんですか?

浅野 いや、相談ってことではないですけど。ええ。

伊藤 大体じゃぁもう北村さんがご用意されたもので?

浅野 はぁ。

伊藤 で僕らいつも拝見してるのは、北村さんが衣裳やってられるのがけっこう多いかと思うんですけども、浅野さんの雰囲気とすごくマッチしていると思うんですよね。で、それってやっぱり、よく関係性が非常に良いんじゃないかと思うんですけども、浅野さんからご覧になって、北村さんっていうのはどういう方?かなりあのワイルドな方だと思うんですよね。

浅野 ええ、そうですね、や、でもやっぱり北村さんと仕事してるのが一番面白いというか、やっぱあの、あんまりこう僕も人見知りするというか、そういうところあるから、北村さんだとこう、遠慮しないで、こうダラダラしていられるっていうんのか、やっぱ面白いですよ本当に。現場にいるときもそうだし、自分らで話ししているときも、やっぱ一緒にいて欲しいだけっていうか、ハイ。本当に映画とか、映画のこともすっごい話してて面白いし、 僕全然何も知らないけど、北村さん面白い話いっぱい知ってて、そういうのやっぱし僕聞きたいから、良い思いさしてもらってます。

伊藤 北村さん、どういうお話し普段されてたんですか?浅野さんに。

北村 浅野さんはね、私がね良いと思ってる映画も知らなきゃ監督も(笑)役者も知らないんで、私がわぁ!って怒るの。「よくそれで役者っていうわね」ってんで。それで横っちょで面倒臭いなと思いながらメールを誰かに打ちながら、目は私の方を聞いてるわけ。だから一生懸命淡々と「パドリーニっていうのはね」とかって説明してんだけど、あぁーっ!って...てゆう関係です。

伊藤 大体正しい?

浅野 ええ(笑)。でも僕はちゃんとに聞いてるんです。それで色んなヒントをもらって、自分が勝手にやってることに生かしたりして。ええ。ほんと、だから北村さんにたくさん洋服ももらってるし、その一個、絵をもらったんですよね、それも僕がいつも使ってるスタジオみたいな所に飾らせてもらって、ええ。

伊藤 あの浅野さんもご自身で絵を描かれるじゃないですか、でやっぱりいろんなことをアーティストとして表現をして行くっていうことって、そんなに誰にでもできるものじゃないかと思うんですよね、でそうやって、北村さんが一緒に浅野さんとコラボレーションしてらっしゃるってのは、けっこう一つ大きな表現になって、形になっているのじゃないかと思うんですけどね。いかがですか?

北村 ですね。

伊藤 今週ですね、実は全然別の映画でトークショーちょっとやってまして、でそのゲストが村上淳君、ムラジュンだったんですけども、北村さんにこの間のジェレイドのポスターすごい良かった、「みっちゃん良かったよ」って言っといてねって言われてて、やっぱりいろんな方に、若い俳優さんに非常に慕われてらっしゃると思うんですよね、北村さんが。

北村 これはね、あの浅野君と私の間には25年の隔たりがあるのね。その位の年の差があるわけよ。そうすっと、彼は今29だとすると、29年のキャリアじゃない。私なんか54年のキャリアがあるわけじゃん、人間として。たぶんそのことにちょっと違い過ぎるから面白いんだと思うのね。私は私で彼らの服装見てたらもう本当知らないから、「その靴はどこで買って来たの?」「そのセーターどこ?」って、もうみんなメモしてんの。そのくらい良く知らないから。ただし、私がよーく知り尽くしてることは彼らの時代の人が知らない。そこが丁度溶け合ってるんじゃないですかね。うん。

伊藤 あの先ほどですね北村さんとお話ししていたら、靴を同じ物3足持っていらっしゃる。

北村 はい。

伊藤 で、この今履いていらっしゃるパンツ、10足持っていらっしゃる。で大体毎日?

北村 はい。とっかえひっかえ。

伊藤 基本的にはその着てらっしゃるものって、あまりスタイルがの違うものってことではなくて、大体そう?

北村 あの、自分がこう、若いときはね髪型から何もかもこう全部進化させるっていう勢いで、一通りの髪型とかみんなやってきたんだけど、それって基本的疲れる。だけども違った意味でそれをも、ね、いいときでやめて、それを違う対象でみること、自分を点にすると、私以外は全部ビジュアルじゃないですか、見方としては、それを自分の中で取り引きしてる方が面白いじゃない?そうすっと、自分自身は常に固まってる固体でいいわけよ。だけど毎日同じじゃ穴が開くじゃない?だけど3枚あれば穴が開かないじゃない。毎日換えてるから。だから3枚みんな同じような痛み方。だから家に帰ると、ズボンもそのまま同じ形、ずらーっとグラデーションに並んでるわけよ。だから私自体がそっから抜け殻で、ちょっとカフカっぽいんだけど、脱皮して、またそれを履いて世の中に出てくっちゅことをけっこう楽しんでる。

伊藤 いかがですか?

浅野 はい、いや、今非常にまたいいことを聞いたなっていう(笑)。確かに毎日服替えるのって疲れるんですよね。

北村 だよね?

浅野 ええ、疲れます。で僕もだから好きなものはやっぱ2個とか買うことがあるんで、なるほど!って感じでしたよ(笑)。

北村 (笑)

伊藤 大体そうやって、いつも話しながら学んで行くって感じですか?

浅野 そうですね。

北村 大丈夫、学んでないから(笑)。

伊藤 あと、今後、来年「アカルイミライ」という作品があるんですけど、黒沢清監督の。でこの作品でもまた一緒にやっていらっしゃいますよね。ここではどういう感じで考えておられたんですか?

浅野 あ、衣裳ですか?これはね、私自分自身の映画って、みんな監督が初めてじゃないの、で、まぁ頂いたときに、あ、浅野さんがいるな!っていうことで、浅野さんをベースにして考えて行くんですよね。キックできるから。そうすっと、今回はみんな捨てられてる、みんなじゃないのよ、彼自身も捨ててあるもので表現したらどうなんだろうって思ったときに、変なことだけども、こうパンティストッキング、失礼なんですけど、女性が履くパンティストッキング、ものすごいごみ箱を、深夜探したんですよ、で、一番ゲットできたのが新宿だったんですね。仮装して、どっかオカダヤ近辺にずっと、ほんとに探してたんですよ。そうしたら紙袋、ゴミ袋3杯くらい集まって、それをわーっと切ってって、でそれをベースにして、アタシがちょっとゴルチェとかが好きなんで、ちょうどクラゲが下に行くんだったら、一個猛禽類で鳥瞰図で見ることがあったらどうなんだろう?と思って、その守っていう彼に猛禽類のそのTシャツを組ませて、こうそういうことを...言わなくていいか?それは説明してないです。

伊藤 北村さんが持って来られたもので、これは勘弁してくれってもの、これまでありますか?

浅野 いやぁ、ないですよ、でも、ええ。

北村 (笑)けっこうあるかも。

浅野 いやいやいや、ないです。だってもうそれを言ったらもう、全部、映画の現場がもう(笑)全部勘弁してくれになっちゃう。監督の言うことも、照明さんの照明の光も全部勘弁してくれになっちゃう。

伊藤 UAの衣裳と、UAとの出会いなんかについてもちょっとお聞きしてよろしいですか?

北村 はい。私がですね、彼女から実は、それは本人に言ってるから全然OKなんですよ、最初、仕事依頼されたんですよ。でその時に、すっごく恥ずかしいくらいに、それって何事なんでしょうか?っていう質問だったんですね。私の中でUAっていうものが何なのかわからなかったんです。ただそれが人の名前だってことはわかったんですよ。でそれで、本人は気付いてるのかわからないけども、ちょっとじゃあ1枚何かってんで、送られて来たんですね、アルバムを、そしたら引き受けた頃にはもう遅すぎるって言われたんですよね。で何かの縁で、今度監督から実はUAっていう人をこう考えてる、だったらその前に、ちょうど伊藤さんと会ったじゃない?だったら一つの「プール」って脚本が立ち上げる時に依頼がされて、それだったら逆にUAって人を使ったらどうなのかなって、もう怒られながら新宿の瓦礫で撮影して、それで何かウォーミングアップをして、それから彼女ってものを見つけましたね。

伊藤 映画の中では彼女ってのはいかがでしたか?

北村 私はね、実はこう見ながら、再現されなかった部分があったんですよね。そこを私がちょっと気付いちゃうから、彼女に言って、「監督にこのカットがカットされないように言え!」って感じで。「私が言うんですか?」って彼女が言ったのが、喪服のシーンなんですよね。だから、喪服っていうものの、マスカットのあの姿から自分自身は映像を作ったんですよね。それがまったく最初カットされてたから、「それはないでしょ!?」ってUAを通して言ってくれて、それがないとあの、浅野さんが演じてる柄も壊れてくるんですよね。それは違うんだけど、繋がってるんですよ、柄合わせとして。だからあれの裏に行くものが彼の洋服に繋がってるんですよ、あたしの中で。

伊藤 浴室の中でバドミントンするシーンがあったりしますけど、あの中で履いてらっしゃるスカート、すごく柄がきれいでかわいいんですよね。あれもやっぱり北村さんが作られた?

北村 そうです。

伊藤 あれもドローイングされているんですか?

北村 あんまり言うと恥ずかしいんだけど、一種のこういう四角形を真ん中をくりぬいて、わぁーっとドローイングしてみたんですよね、手描きみたいに。だから、ちょうどその時にあれを読んでると、決してあれを着ない女の子が、自分がときめいたことによって、今までは青の世界からちょっとクレパスが入って来るってことで、唯一のカラーなんですよ。

伊藤 浅野さんとのバランスってのはやっぱりかなり考えていらっしゃると思うんですけど、お二人の中で何かテーマみたいなものは設けられていたんですか?衣裳について。

北村 衣裳についてですか?それはね、だから殺すとか殺さないとかだったら、男の世界だったらけっこう残酷にも、何もできるじゃない。ところが、ちょうど前のその女と男の関係?で私はどちらかってと苦手なのね、その曖昧としてるところが、だけど、曖昧にすることによって恋愛って見えてくるじゃない?だから曖昧にするってことが「水の女」のテーマだったんですよね。だから水の中にこう藻があるじゃない、藻があって、そこに魚がちょっとあって、そればっかり覗いてましたね。だから浴衣も全部そういうふうになんつうのかな?まったく消えちゃうと黒くなってくんだけど、水を増やして行くと何かが現れるってことにけっこう通しましたけどね。

伊藤 ちょっと浅野さんに別のことをお聞きしたかったんですが、UAさんとこれまで、映画に出る前からかなりお親しいと思うんですけどね、そういう方とこうやって映画で主演をして、まぁいわゆるベッドシーン的なものもあったりして、けっこうやりにくいものですか?

浅野 いや、別に大丈夫でしたね。たぶん、仲がいい人だから、元から知ってる人だから大丈夫だったですけど。

伊藤 けっこう気恥ずかしかったりするっていうのは?

浅野 まぁたぶん、人前で裸になるのがちょっと恥ずかしいときはあると思うんですけど、でもまぁ恥ずかしいって年齢でもねぇかな?って(笑)別に大丈夫でしたよ。

伊藤 あと映画のお話しをね、お二人で現場にいらっしゃるときに、それは北村さんとかもご一緒かと思うんですけど、どういうふうにすればいいかな?とかご相談とかあったんですか?

浅野 UAからですか?

伊藤 お互いにというか。

浅野 いやいや、ないです。特になかったと思うけどな。

伊藤 監督からはどういうオファーが?

浅野 監督っていうか、一番最初にUAから電話があったんだよな。そのときにもうオファーもらってたんですけど、もう脚本にUAの写真が付いてて、UAでやりたいってことが書いてあったんで。でUAから電話もらって、「どう思う?」って言われて、僕は「面白いんじゃない?」って。まぁ普段、どうせミュージシャンだから、どうせって思われるんじゃない?いやいや、どうせミュージャシャンで成り立ってる人だから、映画で失敗しても関係ないじゃんって思ったんですよ。それでだから、別に映画なんかどうだっていいんだから適当にやってみればと思って。

伊藤 そろそろ時間の方がなくなって来ているんですけど、もし何かちょっとこんな質問聞いてみたいってことがあるようでしたら、一つ二つお聞きしてみたいと思います。何かありますか?

質問
北村流ビビッドな色使いのルーツは?
北村 あのね、私自体の生まれた所に影響されるんじゃないですかね。私やっぱ東京生まれじゃないんで、東京の人に石川県って言うと、「え!どこですか?」って言われるんだけど、見えるのは日本海の暗いところじゃない?そうすると、色に憧れて行くっていうのかな?それと10代の時の旅は確かです。だから、5千とか6千とか山の向こうから、想像しない団体が、団体って言っちゃ失礼だけど(笑)民族がわぁーっとやってくるときに、感動しますよね。だから、かつて外国人が日本の東北かどっか行ったとき、絣のもんぺを着てるとみんなびっくりするのと同じじゃないですか?群青の絣のもんぺでわぁーっと田植えしてたらみんなほら、びっくりするのと同じで、たぶんそういうことだと思いますね。カラー、色彩への憧れ。

質問
「SUNSET IN HELL」はどこで使われてますか?
浅野 いや、それエンドクレジットに出てるだけで使われてないはずです。監督にあれカットしたって言われたんで。「ODD」っていう、うちのバンドのベースの奴がやってるヤツは使われてますけども。スイマセン。

伊藤 北村さんは浅野さんにもう何もお聞きしなくていいですか?

北村 一個だけ。たぶんそれを聞きたいがためにここまではるばるやって来たって感じで。あのみんなも同じだと思うのよね、浅野さん自体が実際プライベートのこと絶対明かさないと思うのよ、それは魅力でもあるんだけれど、自分が絵を描くじゃないの、それって実際は時間的にはいつごろ描くの?

浅野 いやもう、いつでもですよね。やっぱりけっこう撮影がないときもあるんで、そのときに描いて。よくそれで一つの絵を集中してもちろん短時間で描き上げるときもあるんですけど、1ヵ月とか3ヵ月とかほったらかしてまた描き出すってこともよくあるんで、それはたぶんもう小っちゃい頃から一緒だと思ってますけど。でももうほんとに暇さえあれば描いてるって感じですね。

北村 本当に素敵なのよ。だから最初に見るのがイタズラなのかな?って思って次また見ると、まったくイタズラではないわけ。だからアブストラクトなのかな?って思ったらマンガもある。そうかな?って思ったら今度は具象もある。基本的に役者をやりながら、それがあるから繋げられるのかな?っていう、ちょっとイギリスだったらミュージシャンが絵を描くってのがあるわけじゃない?だからちょっとね、音楽もやりながら、役者をやりながら、このトライアングルをどうやっていつもこなしてて、時折ってのはあたしが無駄話をすると、よーくアクビをするのよ。音も出さずに。それってずいぶんよくわかるの、空アクビって奴ね。ほんとに音も出ずにカァーってこうやってアクビするの、ほんとですよ、何回もよ。寝てるのかな?寝てないのかな?これを本当に聞きたかったの?絵もやり、音楽もやり、役者やってて、寝てないとまたこれはあれだから、眠りたいのか起きてるのか何なのか?ってのが聞きたかっただけなの。はいどうぞ。

浅野 いえもうそれは、よく寝てますよ。もう他人よりよく寝てますよ。ええ、もう家系で、それはもう寝過ぎの家系なんで、寝過ぎだくらいに。

伊藤 たくさん寝ると余計に眠たくないですか?

浅野 そうですね、それでだからアクビしてるようなものですね。それはもう相米監督にもよく怒られて。

北村 それがほんとにアクビする。

浅野 それだけ、たぶん、リラックスしてるんじゃないですか(笑)?

北村 うまいねぇ(笑)。

伊藤 まとまった感じで(笑)。浅野忠信さんと北村道子さんでした。どうもありがとうございました。


[もどる]

更新:2003.01.07(火)
obuchi@yk.rim.or.jp