TA030118

祝封切り!「アカルイミライ」舞台挨拶

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1月18日、「アカルイミライ」封切り。渋谷シネアミューズでの初日舞台挨拶に、超フォトジェニックな男衆が集った。

ご出席(敬称略)
黒沢清 監督
オダギリジョー (仁村雄二)
浅野忠信 (有田守)
藤竜也 (有田真一郎)
浅井 隆 (司会:アップリンク)

浅野さんのいでたち
  • 顎までのワンレン
  • ちょっと濃い目の髭
  • 緑のトレーナー(この頃のお気に入り?)
  • ブカブカの紺のジーンズ
  • フードにファーの付いた、紺のフライトコート
  • 白の布スニーカー


<2回目上映前の舞台挨拶より>

司会 それでは皆さん、これから「アカルイミライ」をご覧になっていただくわけですけども、その前にゲストの方に一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。
まずは黒沢監督、この映画は昨年の4月に撮影をして、編集をして、やっと今日公開するわけですけれど、だいぶ時間が、映画の常で経ちました。「アカルイミライ」というこのタイトルなんですけども、この映画について一言、ご覧になる前なんですけれども、いただきたいと思います。

黒沢 あ、これ打ち合わせとちょっと違いますね(笑)。そっから入るの?ま、いいや(笑)。ハイ、あ、今日はどうも本当にありがとうございます。朝早くから来ていただいて。えーと、まぁ今、話がありましたように、えぇ約1年位、1年近く前ですかね?撮影したの、ま4月ですけども、昨年の。映画は長い時間かかって作るものですから、まぁここにいる俳優の皆さんとお会いしたのは、そのもっと前です。もう一昨年になりますかね。え、やっとこれで一つの映画の区切りが、今日着いたなと思うと同時に、これからスタートですね。初めて関係者以外の方がこうやってお金を払って見に来ていただく。非常に緊張する日々がこれから続くと思いますが、皆さん、まぁあの見終わって色んな感想を持たれると思うんですけども、まぁ映画、たった映画は2時間弱位の長さですけども、まぁこれから長い年月時々「あ、こんな映画見た!」「題名も何も忘れたけども、何かこんな映画見たよな。」っていうことが、ずっと心のどこかに残ってくれれば嬉しいと思っております。どうもありがとうございました。

司会 えー、じゃあ藤さんにお聞きしたいんですけど、同じく、この映画去年撮影しまして、今日公開するわけですけれども、若い俳優の方と共演されて、でまぁ黒沢監督、初めての監督との出会いだったんですけども、ベテランの藤さんとしては、いつもと変わりない撮影現場でしたでしょうか?

そうですよ。変わりはないです(笑)。ただ黒沢さんていう方は本当に一種の思索家って言いますかね、考える。その自分の思想とか哲学というのを映像にする方です。ほんと作家ですからね。そういう世界の中で仕事が出来るというのは本当に新鮮でね、良かったですよ。

司会 オダギリさんとか浅野さんに対しての何か、こう実際共演されて、新しいスター達がお相手してるわけなんですけど、いかがでした?

いや、あの僕らはね、もう若い人と仕事するというのはすごい得するんですよ。新鮮だしね、手の内わからないし。あとやっぱり本当に、今の彼ら、今の時代の空気っていうものを体でもって、こう発散するって言うんでしょうか、そういうのをね、浴びてるだけでね、もう「良いなぁ!」って感じですよ。

司会 ありがとうございます。
オダギリさん、映画これは2本目になるんですか?

オダギリ そうかも、ええ。

司会 撮影、ええ、その後色々大変でしたね。

オダギリ いやいやいや..そんなにじゃ(笑)

司会 まず主役をこれでやられて、かなりこう気合が入って、入るっていう形で過ごしてられてて、実際の撮影、3週間あっという間でしたか?

オダギリ そうですね、あっという間に3週間、今思えば何かたった3週間だったような気もするし、長い3週間だったような気もするし、あの日にちにすれば20日くらいの短い間なんですけど、すごく充実した撮影現場で、あの良い撮影現場の良い空気が、その...(黒沢&藤に)何しゃべってるんですか?あの良い空気が作品に入ってるんじゃないかなと思います。

司会 ありがとうございます。
浅野さん、これからまぁご覧になる方なんで、あまりタネはバラさないですけど、浅野さん非常に不思議な役を今回も演じていらっしゃるんですけど、いつもとやっぱり違った形で挑まれましたか?それとも台本いただいたときには、何かいつもと同じようにこう演じた感じですか?今回浅野さんは?

浅野 えーとですね、あのいつもと同じように頑張ったと思うんですけど。えっと、丁度自分のやり方というか、そういうことにちょっとこう、何ですかね?疑問を持ってたというか(笑)、うん何かこう違うんじゃないかな?って、ちょっとこう複雑な思いで取り組んでたと思います

司会 それは、疑問を持ってたというのは、まぁ何か終わった後色々話してて、何か浅野さんバンドもやってるし、それで俳優もやってて、「いや、俳優もちょっと本気でやって行こう」というような話をちらっとしてたんで、やっぱり何かそれはきっかけっていうのがあったんでしょうかね?

浅野 そうです。そういう意味では、これは本当に自分勝手な答えなんですけど(笑)、今までのやり方というか、そういうことはもうこれが最後なのかな?っていう感じで「アカルイミライ」はあったのかな?っていう感じで(笑)自分勝手な解釈ですけど、ハイ。

司会 ありがとうございます。
実はこの映画は、ここには出てないですけど、もう一つの主役、「クラゲ」が要するに出てるんですけども、まぁこれからご覧になる皆さんなんですけども、さっきちょっと打ち合わせして話してましたけども、それぞれこの映画を見て、その色々この暗号のある映画なんですけども、クラゲっていうのは、監督は最初このモチーフを思い付かれたきっかけっていうのは何だったんですか?

黒沢 あぁそうですね、まぁあまり詳しく言うのもなんですが、まぁクラゲというものが、まぁ皆さんご存知でしょうけども、この映画に出て来ます。まぁ、クラゲは当然、別に水槽で飼ってる分にはきれいな、ふわふわした物ですけども、まぁこれ危ないんですよね。毒蛇飼ってるのに近いもので、触ると、本当にヘタすると死にます。まぁこの映画でもそういう、何でもないようで、実はその奥に非常に危険な物を、尖った物を持っているというふうにクラゲを使っていますし、じゃあ人間はそうじゃないのか?っていうと、人間も心のどこかには、それは若い人であれ、年を取った者であれ、男であれ、女であれ、どっかで非常に、ヘタをすると、チクリと他人を刺す何かを持っているのではないかと思っております。余談ですけど、昨年、あの多摩川にタマちゃんてのがいてですね、カワイイ、カワイイといわれましたけども、あれも危ないっすよ。あの、ま、たぶん誰もやってないですけど、カワイイ、カワイイって誰かがうっかり近寄って手なんか出したら、ガブッて噛まれるんじゃないかと思うし、テレビで映されて、よーく見ると、本人ものすごく迷惑そうな顔してますしね。ああいうものはあまり触らない方が良いと思います。

司会 ありがとうございます。
藤さんは先程ちょっとお話ししてて、その昔の東京の河川にはなかなか、まぁこの辺は予告編ではチラっと出てるので、川にこうクラゲを放つというシノプスなんですけど、何かありえなかったとおっしゃってたんですけど、クラゲ、ハイ。

憧れの生き方ですね(笑)ふわっふわっふわっとね、超然とね。ゆらゆらと人の、何というんですか、海の中のクリーチャーとしては決して主流じゃないでしょ?魚がいたり鯨がいたりね、かっこいい生き物はたくさんいるけど、クラゲってのはなんとなくそこから外れたところでね、しかも別にそんなことは気にせずにね、ゆらりゆらりってのはいいなぁ、あんなふうにね生きられたらっていう感じがしますね。

司会 ありがとうございます。
オダギリさんは?

オダギリ クラゲですね?

司会 はい。

オダギリ そうですね、僕がまずこの作品でクラゲの謎っていうか気になったのが、クラゲが死ぬと水に還るっていうことが、まず大きな謎として残って、ふとしたときに、あの中華に出てるクラゲってたしかクラゲだったなと思って、何でじゃコリコリ、死んだら水になるはずだし、何でコリコリしてるのかな?っていうのが未だに謎になってるんです。

司会 ハイ(笑)。
浅野さんが最初に、映画の中ではクラゲを飼っていて、オダギリさんに託すというところまでは、チラシとかには書いてありません。最初には浅野さん飼ってるわけです。

浅野 はい。そうですね。

司会 台本を読んだときには、このクラゲって何だろう?って思いましたか?

浅野 えー、そうですね、あんまりクラゲのことは考えてなかったですね。でもあの脚本をけっこう自分の父と話したりして、「クラゲが主役だから」って言われて、主役かぁって思って(笑)、ええ。まぁでもやっぱり脚本を読んでいると、頭にはあんまり入んないんですけど、やっぱりクラゲがどっか主役なのかなぁと思って。ハイ。

司会 最後に一言ずつ皆さんにメッセージをいただきたいと思います。監督からよろしくお願いします。

黒沢 まだあるんですか?

司会 はい。

黒沢 えっと、はい、ま、とにかく「アカルイミライ」という映画ですので、あまりその題名、たぶん題名に関して色々「変な題名だな」とか「何でカタカナなんだ?」とか色々思われちゃうかと思われますが、あまり先入観なく見ていただきたいと思います。見終わった後にこの題名が「あぁ、こういう、これで良かったんだな」と思っていただければ僕としては嬉しいので、あまり題名の先入観なく、本当に見始めていただければ嬉しいと思います。

別にないですね(笑)ただね、おそらくこの映画はね、化学反応起すようなタイプの映画なんですよ。ですからご覧になるとそれぞれがね、この映画とね化学反応を起してるような妙な不思議な、ある、何て言うのかな?あの見終わると思います。そこら辺を楽しみに見て下さい。

司会 はい、期待したいですね。

オダギリ えっと、そうですね、あの最近はレンタルビデオとかが普及いたしまして(笑)レンタルビデオで家で見るということよりも、映画館で見る良さがこの映画には特にあるような気がして、お友達などにこう推薦するときには、レンタルビデオを待つよりも、とにかく映画館で見ろ!と、そういうことを言っていただければと思います。

浅野 えーとですね、あの僕は映画見終わった後、すごく気持ち良い気分になれたんで、みなさんがそうなっていただければ嬉しいなと思います。ありがとうございます。

司会 ありがとうございました。


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更新:2003.01.19(日)
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