TA040731

祝公開!「地球で最後のふたり」舞台挨拶

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7月最後の日、渋谷シネアミューズにて「地球で最後のふたり/LAST LIFE IN THE UNIVERSE」が公開された。タイでの撮影から2年、諸外国公開、ベネチア受賞から1年、長らくお預けをくった日本のファンの前には確かな成長を刻んだケンジの勇姿があった。

ご出席(敬称略)
浅野忠信(ケンジ)
プラープダー・ユン(脚本)
英語通訳(♀)
川勝正幸(司会)

浅野さんのいでたち
  • 下ろした長い髪
  • 剃り跡がちょっと伸びた髭
  • ビルのイラストのぴっちり白T
  • 黒のワークパンツ、後ポケットにストラップ付きお財布
  • 端を長く垂らしたラスタ色の布ベルト
  • 黒のラバーソール
  • 左腕に黒いリストバンド
ビルドアップされてたくましい!

<上映後の舞台挨拶より>

川勝: もう今日は立ち見が出る盛況ということで、ヒットの予感がひしひしとあるわけですが、じゃまず浅野さんから一言。

浅野: え、今日は本当にありがとうございます。この映画はですね、もう一昨年ですかね、撮影したのは、それでまぁタイや海外の方でもずっと見てもらったりしてて、日本でやっと公開出来る日が来て、本当に僕も嬉しく思ってます。本当に前々からクリストファー・ドイルさんと僕は一緒に仕事したことあったんですけど、また再び良い形で仕事も出来ましたし、タイの監督と初めて一緒に仕事が出来て、ここにいるプラープダーさんの脚本で本当に素晴らしいものが出来たので、僕にとってすごく心に残ってる作品です。今日は本当にありがとうございます。

川勝: じゃあ続きましてプラープダーさんから。

ユン:
(通訳)
今日はご来場いただきまして、本当にありがとうございます。僕にとってもこの作品はとても意味のある作品でして、初めて、タイでは知られてます、ペンエーグという監督と仕事出来たの、これが初めての作品なんですけど、そういった形でコラボレーションとしてペンエーグと仕事出来たのもすごく良かったんですが、クリストファー・ドイルと、またもちろん浅野さんと、前から浅野さんの作品を見て、仕事したいなと思っていたので、この作品の意味はとても自分にとっても大きいもので、本当に今日来ていただいて嬉しいと思っています。

川勝: ありがとうございます。そして今日はですね、監督のペンエーグ・ラッタナルアーンさんのメッセージをですね、プラープダーさんがお持ちということで。

ユン:
(通訳)
今回、監督のペンエーグ・ラッタナルアーンさんの方からメッセージを受け取って来ました。
「今日は本当にご来場いただいてありがとうございます。本当来てくれて嬉しいです。この映画を本当に楽しんでもらう、それだけが僕の望みです。ただこの映画はですね、ハリウッド映画のように、たくさんエキサイトなシーンがたくさんある映画じゃない、少し我慢しなくちゃいけないような映画なんですが、たぶんもう1回見たときに、また違う意味を持ってお客さんの心に届くのではないかと、それを期待しております。この映画を、今日好きとおっしゃる人は、ちょっと変わっている人ではないかと。もし逆に嫌いだったら、その方が普通の人なんじゃじゃないかなと思います。」
というようなメッセージです。

川勝: ペンエーグさんて、わりにシニカルなことを言う監督らしいんですけど。

ユン:
(通訳)
ユーモアのセンスがちょっと変わっているというか、ひねくれてる。それは汲み取っていただけるとありがたいんです。

川勝: 皆さんご存知のようにですね、この「地球で最後のふたり」、去年のベネチアの国際映画祭のコントロコレンテ部門の、浅野さんが主演男優賞を受賞しまして、で次の撮影があって、授賞式に出れなかったんですよね?残念ながら。

浅野: そうです、丁度あの「珈琲時光」という映画を撮ってて、それでもう日本に帰らなければいけなくて。

川勝: で、今名前が出ました侯考賢の「珈琲時光」、小津安二郎さんの生誕100周年ということで、オール日本ロケのですけども、その作品と塚本晋也さんの「ヴィタール」、この2本浅野さんが主演で出ていますが、なんと今年のベネチアに出品されるということが昨日決まりまして、また行かれるということで。

浅野: ありがとうございます。

川勝: あとですね、今日はプラープダー・ユンさんが8月2日で31歳のお誕生日。で去年の授賞式に出られなかった浅野さんのためにですね、ずいぶん話題になってから公開まで時間があったんで、今日は皆さん、ここがアルタだと思ってですね、僕が「浅野さん、プラープダーさん、おめでとうございます!」と言ったら、ご唱和をいただければと思います。
それでは準備いいですか?浅野さん、プラープダーさん、おめでとうございます!

おめでとうございます(^o^)/

川勝: 今日は皆さん見終わったお客さんなんで、話がし易いんですけれど、やっぱり「風花」でエリート官僚を演じたり、「殺し屋1」で垣原を演じた浅野さんだからみたいな、浅野さんを当て書かれたような脚本という感じがしたんですけれども、これはプラープダーさん、やっぱり最初から監督と一緒に、浅野さんを想定なさってお書きになったんでしょうか?

ユン:
(通訳)
すでに浅野さんというイメージが頭の中にあって、とにかく書き始めたそうです。

川勝: 浅野さんは脚本を最初にもらって、どう思われましたか?

浅野: いや、あの、すごいなと思って、すごい几帳面な人だし、それでもう自殺を何度も何度もしようとしちゃうような人だから、すごい人だなぁと思って。でもまぁ話の流れずっと読んで行くと、最終的にはなんかこう違う方向に変わったりして、すごい面白い話だなぁと思って、はい。

川勝: オファーを受けたときは?

浅野: でも、その前から監督とかクリスとかプラープダーさんとか、あとそれ以外にもプロデュースしてくださってる方が、外国の方とか、色んな国の人がいたんで、こんなに色んな国の人間が集まって映画撮るってことが、僕の中では今までなかったんで、もう絶対やってみたいと思って、はい。

川勝: 今回エンドロールにですね、アニエス・ベー、吉田かばん、リキ・タケウチという三大ファッションブランドが同格で並ぶんですが、こういう感じがすごいこの映画を象徴してるっていうか

浅野: ええ、もうカオスですね、なんか、ある意味では。

川勝: タイ映画の最新作なんだけども、なんかそれこそ浅野さん、クリストファーとかペンエーグさんとか、共有する感覚を持ったアジアの映画のトライブみたいな感じの新しい感じがしたんですけど。

浅野: ええ。

川勝: 実際どうです?楽しかったり、大変だったり。

ユン:
(通訳)
この作品を撮り始めた頃って、そんなにお互い個人的に知り合いだったわけじゃなくて、そこからスタートして、逆に映画が終った後にこの作品を見て、あ!こんなふうに自分達が成長したなというか、お互いが知り合った形がこういうふうになったんだなと、みたいなことがすごく面白かったんですって。クリスもすごく自分自身やれることをすべてやったし、ペンエーグも同じように、浅野さんも同じようにっていう形で、あまり自分の脚本というよりも、そのコラボレーションが上がった形がこの映画そのもの、それを見ていただけるのが嬉しいと思っています。

川勝: 浅野さんはどうですか?そういう変化っていうか

浅野: そうですね、もうでも夢中だったの。でも本当出来上がったときに、僕が想像してたものとは違かったんですね。

川勝: あぁ。

浅野: あの、僕が見たときに思ったのは、すごいムードがある映画だなと思って、そういう、なんかこう言葉で言えないようなムードみたいなものが、ここまで漂ってる映画だと思ってなかったんで、そこがすごいびっくりしましたね、ええ。

川勝: ペンエーグさんの作品というと「69」、DVDに浅野さんコメント寄せてますけど、あと「わすれな歌」と、なんかこう意表を突いた展開の映画が多いんですが、今回もまぁ意表は突くけども、どこかこう静かな狂気みたいなものっていうのがあって、現実か幻覚かわかんないような、そういうのを演じる上ではけっこう悩まれたりしたんですか?

浅野: いや、特に悩んだってことはなくて、もう本当に監督とかクリスとかが現場で生まれる面白いアイディアみたいなのを大事にしてましたし、そういう何かハプニングみたいなものが、まぁさっきも言ったように、あ!こういう形で生かされてるんだなってのは現場ではわからなかったんですけど、ええ。でもまぁ現場では色んなことが起こったりとか。

川勝: ケンジという役柄とか含めて、いわゆる外国の人から見た日本の、ベタな日本人っていう、例えば「ロスト・イン・トランスレーション」というような感じではなくて、なにかクレイジーだったりする、日本人像っていうのは、プラープダーさんはけっこう取材して書かれたということなんでしょうか?

ユン:
(通訳)
実際自分自身にも交際を続けている日本人の親しい友達が、学校時代からかなりいたんで、日本人を描くことに関しては、自分の知っている日本人をかなり反映しているというか、投影している部分はあります。ペンエーグ自身も日本人のお友達がいるので、プラープダーさんだけでなく、ペンエーグと、彼の間にも日本人のイメージというのはかなり実際にいる人のイメージを近づけています。ただケンジというキャラクターはプラープダーさんの知り合いというか、すごく知っている日本人の人のキャラクターを生かしたキャラクターなんですけど、その人に見せたところ、「僕はそんなんじゃない!」と、どちらかというとプラープダーさんの方に近いんじゃないかっていうようなコメントは、その実際にいる方からはもらいました。

川勝: ありがとうございます。
では、こういう次第でお時間が来てしまったので、皆さんきっとこの映画を気に入られた変な方達だと思いますので、ご自身の大切な人にぜひお勧めしていただければと思います。それでは最後にもう一度浅野忠信さんとプラープダー・ユンさんに拍手をもって、ではどうもありがとうございました。


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更新:2004.08.01(日)
Kaori