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祝公開!「母べえ」初日舞台挨拶

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「MONGOL」のアカデミー賞外国語映画賞ノミネートで、浅野忠信の注目度に一気に火が点いた1月26日、「母べえ」が全国ロードショーの幕を開け、有楽町ピカデリー1で一回限りの舞台挨拶が行われた。

ご出席(敬称略)
山田洋次監督
吉永小百合(野上佳代)
浅野忠信(山崎徹)
壇れい(野上久子)
笑福亭鶴瓶(藤岡仙吉)
志田未来(野上初子)
佐藤未来(野上照美)
野上照代(原作)
渡辺宜嗣(司会:テレビ朝日)

浅野さんのいでたち
  • セットした短い髪/髭なし
  • 黒のシングルスーツ
  • 白シャツ/グレーのネクタイ
  • 黒革靴
きちんとした爽やかな大人(*^^*)

<上映後の舞台挨拶より>

司会: 始めに山田監督よりご挨拶をいただきたいと思います。 どうぞよろしくお願いします、山田洋次監督です。

山田: 寒い朝早くからこんなに大勢の皆さんが封切りの日に詰め掛けてくださって、本当に嬉しく思います。 今日のために出演者の皆さんが忙しい時間をやりくりして、こうやって来てくださった。 またスタッフ、大勢のスタッフも今日この日、この会場にみんな来ています。 こんなにも完成からずっと時間をおいて封切りが来る日を待ち続けていた、大変な緊張な思いをして、緊張の中に今日の日を迎えたのは、お客さんの笑顔を作って来ましたけれども、何か初めてだなぁというふうに今思っております。 まずは皆さんにお礼を申し上げます。 どうもありがとう。

司会: 「母べえ」は、ここでご報告させていただきますが、世界三大映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品が決定したことをあらためてご報告させていただきます。
では原作者の野上照代さん、どうぞご挨拶をお願いいたします。

野上: 皆さんどうもありがとうございました。 今一回ご覧になっていただいて、お解りだと思うんですが、本当に素晴らしい映画が出来まして、その原作者に名前を連ねさせていただいて、本当に光栄だし、感謝いたします。 私が23年前に書いた作文のようなかわいい、かわいいと言うと変だけれど、小さな原作とも言えないようなものが、山田さんはじめ俳優さんやスタッフの皆さんのお陰で、こんな立派な、素晴らしい映画になったことを本当に嬉しく思います。 ここにいらっしゃる方は、まぁほとんどの方がこの時代のことをご存じないと思うんですが、この映画を通してこの時代の、戦争の犠牲になった、戦争のために死んだ兵隊さんとか、犠牲になった思想の、治安維持法の犠牲になった人たちだとか、戦争に反対したために殺された人たちの志の高さ、志の美しさを映画を通して感じていただければ嬉しいと思います。 皆さんどうもありがとうございました。

司会: ありがとうございました。
では、母べえにご挨拶をいただきます。 吉永小百合さんです。

吉永: ありがとうございます。 「男はつらいよ」にも出演させていただいて以来、もう長い年月が経ちますけれども、山田監督の映画が好きで、ずっと見て参りました。 弱い者、小さい者に対するとても優しい、温かい眼差しをいつも感じておりました。 そして今回の「母べえ」もそんな映画だと思います。 そういう作品に、今日来てらっしゃる素晴らしいキャストの皆さんと手に手を取り合って出演させていただいたことは、私にとってこれから一生忘れられない大切な思い出になると思います。 本当にありがとうございました。

司会: 吉永さんにうかがいたいんですけど、たくさん映画にお出になってる吉永さんでもやっぱり、こういうご自身が主演された、特にこの作品、まぁ色んな作品もあると思うんですが、初日を迎えるってのは、相当やはり緊張なさるものですか?

吉永: そうですね、一昨日のように雪が降ったらどうしようとか、もうこんなに寒い中をね、朝早く出てくださって来る皆さんがいらっしゃると思うと、何とか良い条件でと思いますし、本当にドキドキハラハラとして今日を迎えました。

司会: ありがとうございました。
では、続きまして山ちゃんからご挨拶をいただきます。 浅野忠信さんです。 お願いいたします。

浅野: 今日は本当に皆さんどうもありがとうございます。 撮影は約1年前というか、本当にちょっと長いこと、今日を迎えるにあたって長いことかかっていたんですけど、その間にやっぱり自分が本当にどんな人たちと関わって来たのかっていうのを、もうじっくりと感じることが出来まして、もちろん撮影してる間も、とんでもない人たちと今仕事してるんだなぁと思ってたんですけど、今日を迎えるまでに本当にありがたい目をさしていただいて、素晴らしい映画に出させていただいて、自分でも本当に感動しております。 それをこうしてたくさんの人に見てもらえるということは、本当に僕にとってはとても嬉しいです。 本当に今日はありがとうございました。

司会: 「母べえ」ファミリーの山ちゃんにはビッグニュースが届いたことをご紹介させていただきます。 浅野忠信さんが主演をなさいました、チンギス・ハンを演じた「MONGOL」がアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたことをここであらためてご報告させていただきます。 なおこのアカデミーの外国語映画賞は、日本人としてノミネートされたのは、山田洋次監督がお撮りになった「たそがれ清兵衛」以来ということも合わせてご紹介させていただきます。
では続いてチャコちゃんにご挨拶いただきます。 壇れいさんです。

壇: 本日は本当にありがとうございます。 私はこの野上久子”チャコちゃん”を演じるにあたって、とても苦しみました。 どういうふうにこの野上家の家族の中に空気のように、当たり前のようにいられる存在でいるにはどうしたら良いのかなって本当に悩みました。 でもこの映画を通して、チャコちゃんの生き方を見て、あ!実はこの人、色んなことをポンポン言うかもしれないけれども、いろんなことに抑圧されて生きて来た人なんだなぁっていうのをすごく思いました。 私は演じながら、女性が当たり前に美しくお化粧して、きれいな洋服、恋愛することも自分がやりたいことも全部抑えらて来たかわいそうな女性だなぁと、そういう世界に生きてたんだなぁとすごく強く思いました。 今私たちはとても良い時代に生きています。 それを日々感謝しながら、これからも皆さんに喜んでもらえるような映画を作って行きたいなと思いますし、皆さんもこの映画を見て色んなことを感じていただけたら本当に嬉しいです。 本日は本当にありがとうございました。

司会: ありがとうございました、壇れいさんでございました。
さぁ、そして仙吉おじさんをご紹介いたします。 笑福亭鶴瓶師匠です。

鶴瓶: 早くから本当にどうもありがとうございます。 私はこの仙吉を演じるにあたってすごく楽でした。 監督から一言も何も言われず、全部OKでしたんで、本当に僕はこういう男かなって思ったところがあります。 でもまぁ始めこの「母べえ」っていうけったいなタイトルやなぁと思ったんですよ。 何やなこの”母べえ”っていうのは?って思ったんですけど、よう考えてみたら、この”母べえ”っていう呼び方ってすごく、でこの映画のタイトルってものすごい素敵やなって、野上さんとさっきちょっとしゃべってたんですよ。 でこの”母べえ”って呼び方をする時代ってのが、本当に良い家庭の、本当に何か温かい雰囲気が、まぁ時代はあんな時代ですけど、良いなぁって思うんで、これから日本人は皆母親のことを”ママ”とかそない言わないで”母べえ”、お父さんのことを”父べえ”と、でお兄さんのことを”鶴瓶”と、このように思いますんで。 ぜひ帰ったらすぐにお母さんのことを”母べえ”と呼んでいただきたいと思います。 今日は本当に寒い中ありがとうございました。

司会: 鶴瓶さんは「母べえ」の宣伝部長をずっと勤めてくださいましてね。

鶴瓶: 僕別にね、そんなにアレなんですけど、素敵な映画に出していただいたんで、ものすごい責任感じて、今日も何か行かなあかん!って感じで寄していただいたんです、ええ。

司会: あらためて、紅白歌合戦優勝おめでとうございます。

鶴瓶: ありがとうございます。

司会: 鶴瓶師匠でございました。
さぁ、そして二人のかわいらしい娘さんです。 初べえをご紹介します。 

志田: 野上初子役をやらせていただきました志田未来です。

司会: 私もずっとこの舞台挨拶とか記者会見とか携わらせていただいたんですけど、みらいさんのお母さんってどんなお母さんなんですか?

志田: 友達感覚で何でも話せるお母さんですね、はい。

司会: 優しいお母さん? 厳しいお母さん?

志田: そうですね、すごい優しいんですけど、やっぱ怒られますね、悪いことすると。

司会: 今みらいちゃんは14歳?

志田: 14ですね。

司会: 吉永さんと一緒にお仕事を、この「母べえ」の親子の間柄で演じられたんですけども、みらいちゃんから見て吉永小百合さんってどんなお母さんだったですか?

志田: 吉永さんが本当のお母さんだったら良いなと何度も思いました。

司会: ありがとうございました。 志田未来さんでした。
では今度は次女の照べえです。 お願いします。

佐藤: 野上照美役の佐藤未来です。

司会: みくちゃんは今小学4年生?

佐藤: はい、そうです。

司会: みくちゃんのお母さんのことちょっと話してくれますか?

佐藤: すごく怒られるんですけど、すごい何かテキトーな人です。

司会: ど、どういうふうに?

佐藤: でも細かいことはちゃんとやります。

司会: はぁ、へぇ。 みくちゃんはお母さんのことを何て呼んでるんですか、普段?

佐藤: ”ママ”って呼んでます。

司会: じゃあ今日から”母べえ”って呼んでみましょうか。

佐藤: はい。

司会: みらいちゃんのとこは何て呼ぶんですか、お母さん?

志田: 私は、最近ニックネームっていうことが多くなりましたね。

司会: はぁ。

志田: 何か寝る前にガールズ・トークをして寝てるんですよ。 そうすると本当に友達みたいになって来て、そういうふうに呼べるようになりました。

司会: ガールズ・トークって何?

志田: 女の子同士の話。

司会: 女の子同士の会話をガールズ・トークって言って、お母さんともそういう関係なんだ?

志田: そうですね。

司会: へぇ、そうなんだ。
みくちゃんとみらいちゃんは同じ”未来”って字を書くんですよね。 未来さんと未来ちゃん。
みくちゃん、さっきみらいちゃんには聞いたんですけど、みくちゃんは吉永さゆりさんってどんな人でしたか?ずっと一緒にいて。

佐藤: すごい優しい方でした。 休み時間とかも遊んでくれたりとかして、撮影が終わった後とかも水族館に連れてってくれて、遊びました。

司会: へぇ、本当。

鶴瓶: 本当ですよ、この子がちょこちょこちょこちょこするから、吉永さんがね「つるべえ!」って怒らはったんですよ。

司会: え!みくちゃんのことを”つるべえ”って?

吉永: あんまりちょこまかしてるから、お母さんとしてはね、母べえとしては叱らなきゃいけないと思って、「つるべえ!」って怒っちゃった。

司会: そうだったんだ。 いや何か本当にご家族そして親戚、お父さんの教え子とか妹とか、本当にご家族っていう感じが、映画ご覧になった直後ですから皆さんも良くお解りいただけると思います。 今日は本当に初日の舞台挨拶、もう入り口入り切らないくらいのお客様が、今日はこのピカデリー1に来てくださいました。 本当にありがとうございます。 全国で丁度今327スクリーンっていう表現だそうですが、この32?館327スクリーンで丁度今頃最初の上映が終わったところだと思います。 どうぞ皆さん、この「母べえ」ファミリーに今一度盛大な拍手をお願いいたします。

<フォトセッション>
<花束贈呈>
司会: では最後にもう一度、山田洋次監督より皆さんに、会場の皆さん、全国の皆さんに、どうぞ一言メッセージをお願いいたします。

山田: この作品の試写が何回も行われたんですけども、それを見た野上照代さんの古いお友達が野上さんのところに手紙をくださったんです。 その中に、この作品は小さな茶の間を大きな時代が通り過ぎて行くような、そんな映画だったっていう言葉を書かれていた、それを野上さんに聞いて、へぇ!と思ったんです。 つまり言い当てられたって言いますかね、そんなつもりで僕は映画を作ったわけではないんだけども、あなたの映画を見てると、そんなものが見えましたよと、時代がね。 それを言い当てられて僕は嬉しかったし、同時に教えられたっていうか。 だから映画ってのはそういうふうに見る人によって教えられてる、で作り手が気が付くっていう関係があるわけなんですよね。 どうぞ皆さん、この映画をご覧になって、そんな色んな感想を抱かれるだろうと思う、そうなんだな、そんな時代があったんだなと。 そしてこれからこの国はどうなって行くのか、またこんな時代を迎えるようなことだけは決してしてはいけないんだな、そんなことを、ちょっとでもね映画を見た後で家路につくときに考えてくださるようであれば、作り手としてこんな嬉しいことはない、そんなふうに思います。 皆さんが少しでもこの映画をもし良かったとお思いになったら、ぜひ皆さんの友達のそのようなことを伝えていただければこんな嬉しいことはありません。 今日は本当にありがとうございました。

司会: 吉永小百合さん、お願いいたします。

吉永: 2ヶ月前から全国を歩いて、この映画のキャンペーンをして参りました。 そして今日ここで、丸の内で皆様にご挨拶をしております。 今日が本当の意味でこの「母べえ」の封切り、スタートの日だと思います。 そしてここだけじゃなくって、新宿でも渋谷でも大阪でも北海道でも色んなとこで皆様の前で、こうやって来てくださる方にもう一度ご挨拶をしたいというふうに思っているんですけれども、それくらい私にとって大切な作品です。 そしてこの映画をご家族で見ていただきたい、また十代の少年少女にも見ていただきたいというふうに願っております。 どうぞ今日ご覧になった皆様、お力をお貸しください。 たくさんの方に見ていただけましたら本当に嬉しゅうございます。 今日は本当にありがとうございました。

司会: ありがとうございました。
「母べえ」のファミリーに今一度盛大な拍手をお願いいたします。


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更新:2008.01.27(日)
Kaori