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祝完成!「母べえ」舞台挨拶

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12月11日、有楽町ピカデリー1にて、「母べえ」の完成披露試写会、舞台挨拶が行われた。

ご出席(敬称略)
山田洋次監督
吉永小百合(野上佳代)
浅野忠信(山崎徹)
壇れい(野上久子)
志田未来(野上初子)
佐藤未来(野上照美)
野上照代(原作)
渡辺宜嗣(司会:テレビ朝日)

浅野さんのいでたち
  • 短い髪/うっすら髭
  • 黒のシングルスーツ
  • 白シャツ/ネクタイなし
  • 黒革靴

<上映前の舞台挨拶より>

司会: ではお一方ずつ完成の披露のお言葉を、そして皆様へのご挨拶をしていただこうと思います。 始めに山田洋次監督でございます。 よろしくお願いいたします。

山田: 皆さん、良く来てくださいました。 この作品は1年、準備から1年以上時間をかけて作りました。 野上さんの原作を読んだのはまたさらにその1年前ですが、僕のイメージに浮かんだのは、戦前の小さな一軒家の畳の部屋で、ちゃぶ台があって、縁側があって、そこに親子がご飯食べている。 笑ったり、喧嘩しながらご飯食べてる。 そんなイメージを浮かべたんですね。 そして、要するに茶の間を映すんだ、この映画は。 そういういわば地味な作品なんだなと思ったんだけれども、とてもやりたかった。 お母さんに吉永小百合さんがなってくれると良いな。 いや、そうじゃないと成り立たないな。 でもこんな地味な作品に出てくれるだろうかっていう不安もありました。 で、手紙を出してですね、何とか出ていただきたいということで。 そんなことから始まった映画です。 でもその気持ちは、今日これから皆さんが見てくださるのでわかると思うけれども、でも出来上がった作品を見ますとね、その茶の間の向こうに、何かあの時代ってものがこう浮かんで来たのが見えるような気がする。 それは意図したことではないけれども、結局あの時代を何とか再現しようと、細密画のように再現しようというスタッフの努力が、結果そういうことになって出て来たんじゃないか。 あの昭和15年に戦争が始まろうとする時代が、そこに見えて来る結果になったんじゃないかなっていうことを思います。 あんな時代があったんだってことを、そしてこんな家族がいたんだってことを、皆さんが映画を見た後で、色々なことをそれから考えてくだされば良いなと思います。 どうぞお楽しみください。

司会: 続いてご紹介するのは、原作者でいらっしゃいます。 数多くの黒澤明監督の作品のスクリプターでもいらっしゃいます。 原作者の野上照代さんをご紹介いたします。

野上: あの、私は今大変に幸せです。 と言いますのは、私の原作は中学生の作文みたいな、もう粗末なものなんですが、山田洋次さんが魔法の杖のようなものを一振りして、こんな素晴らしい映画を作ってくださったので、本当にこの映画を作ってくださった皆さん、スタッフ始め、俳優の皆さんにもお礼を言っても言っても足りないくらいで、私は何もしないでこんな所に立っていますが、感謝で一杯です。 ありがとうございました。 皆さんもどうぞ、素晴らしい映画ですから、ご覧になって、他の方にもお伝えください。 どうもありがとうございました。

司会: さぁそして、明日が見えない時代を、希望を胸に生き抜いた母べえを演じられました吉永小百合さんでございます。

吉永:  映画「母べえ」の完成披露試写会に来てくださいまして本当にありがとうございます。 魔法の杖ならぬ魔法の指揮棒、山田監督のこの指揮棒をしっかりと、みんなで、ここにいる出演者のみんなが見つめて、そして一生懸命作った作品です。 スタッフの方も、それぞれあの時代をしっかり再現するよう努力なさって、そして出来た作品。 私にとって本当に本当に宝物のような大切な作品です。 たくさんの方にこれから見ていただきたいと願っております。 どうぞよろしくお願いいたします。

司会: 続いて、父親不在の野上家を、優しさと誠実さで支え続ける、山崎徹を演じられました浅野忠信さんでございます。

浅野: 皆さん、今日は本当にありがとうございます。 僕はですね、この映画を経験して、自分のことですが、大きく成長することが出来ました。 それはやはり、監督が僕のことを諦めず、熱心に接してくれたからだと思うんですね。 そして僕はこの映画が出来上がったのを見たときに、やはりその家族が家族を信じて、決して諦めることなく、前向きに毎日を生きてるってものを受け取ってる気がしました。 そういう部分を本当に楽しんでもらえれば嬉しいと思います。 ありがとうございます。

司会: 続いて、父べえの妹で、広島から上京して来ました、野上久子を演じられました、壇れいさんでこざいます。

壇: 本日はお越しいただきましてありがとうございます。 この「母べえ」という映画を通じて、私はたくさんのことを知りました。 日本がこのような不幸な時代があったのか、そして戦争というのが戦場だけではなく、残された家族の生活をも戦争があったのかということをこの映画を通して知ることが出来ました。 本当に静かで淡々と、でも力強く祈りのようなメッセージが込められている作品です。 どうぞどうぞ皆様にその思いが通じますように。 本日は本当にありがとうございました。

司会: 続いて、野上家には二人の娘さんがいらっしゃるんですが、しっかり者の長女初べえこと初子を演じました、志田未来さんです。

志田: この映画は家族の愛情や絆を伝える映画になっています。 皆さん、今日家に帰ったら、ぜひ家族とは何なのか考えてみてください。 今日は本当にありがとうございます。

司会: そして天真爛漫な次女が野上家にはおりますが、照べえこと照美役を演じられました佐藤未来さんです。

佐藤: ...でんぐり返しを頑張ったんで、見てください。

司会: ずっと今日、午後に記者会見をさせていただいたんですが、初べえと照べえはずっと母べえの側にぴったり寄り添っていました。
 とにかくこれから見ていただく作品、皆さん本当に色々なことをお感じになると思います。 今日は本当に始めての舞台挨拶ということなので、吉永さん、もう一度全国の皆さんに、そして会場の皆さんに、この映画のメッセージをいただけますでしょうか。

吉永: 最初に監督からお話を伺ったのは本当にもう小さな作品で、1時間40分くらいでっていうようなことだったんですね。 ですから、それがどんどん監督の中でイメージが膨らんで、このような形で皆様に見ていただけるということはとても大切なことですし、これからの自分たちの生き方とか、家族とか、愛とかそういうことを、もしこの映画をご覧になって色々考えていただけたら、ご家族の間で色々なことを話し合ってくださったらどんなにか嬉しく思っております。 どうぞご覧になって、色々ご感想などもお聞かせいただきたいと思います。 ありがとうございました。

司会: では最後に山田監督、もう一言お願いしてよろしいでしょうか。

山田: この作品、来年1月からいよいよ封切られますけども、この作品も上映が成功するように皆さんのお力添えをいただきたいと心から思います。 それで僕たちが今入って来たときに、聞こえた歌声ですけども、あれはこの映画の中で使っている音楽です。 日本を代表するプリマドンナの佐藤しのぶさんの声です。 後半のクライマックスから歌が出て来ます。 そして一番最後のタイトル、ローリングタイトルが出て来るときに一番良いところが歌われるんですけど。 ですからどうぞ皆さん、エンドマークが出るまで席を立たないで、佐藤しのぶさんの声を聞いていただきたいと、お願いします。 それでは皆さん、楽しんでください。

司会: 年が明けて、2008年1月26日の土曜日から全国ロードショーということになります。 ぜひ皆さん、真っ先に見ていただいて、お話を周りの方にしていただきたいと思います。 ありがとうございました。


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更新:2007.12.13(木)
Kaori