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自己陶酔劇場 「白痴」エキストラ
その5

 現場からの帰り際、ナイスミディの衣装さん(ちょっとオネエ)が大渕&ギャルに笑って「似合ってるよ」と声をかけてくれた。嬉しくないよう(笑)と、前方を見れば、焼け跡の入り口にまだ王子様がいらして、一人のスタッフと一緒にポラロイドなど撮って(最近王子様は写真に凝っていらっしゃる)談笑なさっているではありませんか!今度こそ...と思いきや、またもや俳優(男前)に先を越されてしまったぜい。今度こそ...王子様はスタッフとお話されていたのだけれど、話したげに近づく大渕に気づいてか、「お疲れ様でした。」とのたもうた。おぉ!またしても、こんな下々のものに!なんていい人なの!?この期を逃してか!と早口に話し掛ける。

大渕: 「浅野さん、『ねじ式(18日封切り)』面白かったです。」
と、注意を引き、さりげなくfrom東京圏であることをアピール。
大渕: 「ナレーションもいい感じでした。」「セリフが面白くて結構笑っちゃいました。」,etc,
と、感想を畳み掛けると
王子様: 「(見た場所は)ユーロスペースですか?」
おぉおおおお!王子様が大渕にご質問されたぞ!
大渕: 「BOX東中野です。」
と、このあと数マイクロ秒の沈黙の後
大渕: 「私、おおぶちかおりです。」
この後王子様がなんとおっしゃったと思いますぅ!?
王子様: 「わかってます(笑)」
きぃやぁあああああああ!!!!!感激の余り
大渕: 「こんな顔なのに...」
と走って逃げてきてしまったぁ!はぁ、私は報われました。

  この後、下駄を返して、洗い場で化粧(汚れ?)落し。野原に巨大な水タンクが置かれ、ホースが何本も出ていて、そこが洗い場。山盛りのタオルとハンドソープだけが用意されている。目隠しも囲いもなし。男らはお構いなしに衣装を脱いで(パンツははいてるけど)水浴びをはじめた。大渕&ギャルはとりあえず手足と顔と髪を洗う。アウトドアでのシャンプーって何て気持ちいいんだろ。厚いメイクを落とすと脱皮したような気分である。とても全部は落とせないので、とりあえず社会生活が営める程度で我慢する。沐浴が終わった順に自由解散のようなものなので、from埼玉のアクターズともそこで、はぐれてしまった。更衣室ではすでに次のシーンの草刈さんの衣装の準備が行われているので、一人ずつしか着替えができず、ギャルともお別れになってしまった。衣装を返して、記念品をいただいて、スタッフの笑顔で送りだされる。そう、送り出されてしまったのよぉ!ひょっとして帰りも駅までお送りしましょうコースがあったのかもしれないのだけれど、撮影所の門を出てしまったのよ。こうなれば自力で帰るしかないわ。道は知ってるんですけどね。広い広い撮影所をぐるーっと回っていると、乙女ごらが2,3人フェンスの中を覗き込んできゃーきゃー!言っている。通り過ぎてから、ふと思い立ち、戻ってみると、やっぱり王子様がいらした。今度は黄色いシャツ姿。衣装替えをなさっていたのだわ。王子様、お元気で!

 撮影所を後にし、勝手知ったる道を歩くこと10分、県庁のバス停に着いた。そこからバスに揺られて20数分、新潟駅、そして新幹線へ。またまた車窓はるか遠くのオープンセットに思いを馳せ、長く幸せな一日は終わったのでした。お土産はスタッフTシャツと超レアなポストカード集でした。王子様、お元気で!

<完>

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更新:1998.08.29(土)
obuchi@yk.rim.or.jp