小津安二郎監督生誕100年記念作品「珈琲時光」が第61回ベネチア映画祭のコンペティションに参加する。
超巨大台風16号一過、2004年最後の夏、総本山新宿テアトルタイムズスクエアにて、壮行プレミアが格調高くとり行なわれた。 | |
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司会: |
では監督、そして一青さん、浅野さんから一言ずつご挨拶をお願いしましょう。それでは監督からお願いいたします。 |
侯:(対訳) |
(日本語で)今晩は。 「珈琲時光」を見に来ていただいて本当にありがとうございます。 |
司会: |
続いて一青さん、お願いいたします。 |
一青: |
今晩は、一青窈です。こんな3人でこうやって皆さんの前に立てると思ってなかったので...嬉しいです(笑)。ありがとうございます、来ていただいて。 |
司会: |
ありがとうございます。 そして浅野さんです。 |
浅野: |
えー今日は皆さん、あの本当にありがとうございます。えっとですね、去年、去年ですよね?確か、去年のもう今頃というか、もうちょっと前に撮影をしてまして、それでまぁやっと皆さんにこう見てもらえる機会が出来て嬉しく思っております。今日は楽しんで行ってください。ありがとうございます。 |
司会: |
ありがとうございました。 さてこの作品ですが、明日から開催されますベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されます。この侯監督にとっては、グランプリを獲得しました「悲情城市」以来15年振りにこのベネチア国際映画祭に参加されるということで、また一青窈さんにとってはですね、初めて出演した映画で、そしてこの映画祭に参加なさる、また浅野さんにとってはですね、昨年のベネチア映画祭でコントロコレンテ部門の主演男優賞を受賞なさった思い出深い映画祭ということなんですね。これから映画祭に出発なさるわけですが、今のお気持ちをお三方にうかがいたいと思います。今のお気持ちと現地ではどんなふうに過ごされるのか、まず監督からお願いいたします。 |
侯:(対訳) |
ベネチアの思い出はですね、私3回ほどお邪魔したことがあるんですけども、2度目に行ったときには、市内にある、中心部にある揚州小館(?)という中華料理屋さんでいつも中華料理を食べていました。で3度目にお邪魔したときはですね、うちのプロデューサーがお鍋を持って行って、ご飯を炊きました。すみません、ベニスの話が食事の話ばかりになっちゃうんですけど、イタリアのお米は芯がある感じで、それがちょっと解決出来ないと、自分の中でしっかりと取材を受けたりとか、仕事ができないなぁっていうのがありました。それがすごく印象に残っております。 |
司会: |
はい、ありがとうございます(笑)。 それでは一青窈さん、お願いいたします。 |
一青: |
イタリアは..もしこれで行ったら2度目なんですけれども、そうですね、特にそんなに緊張というものを感じていないので、楽しもうと思っています。 |
司会: |
はい、あのそれだけで?もうちょっと(笑) |
一青: |
そうですね、やっぱりスパゲッティはアルデンテの方が、ハイ。 |
司会: |
ありがとうございます。 そして浅野忠信さんです。 |
浅野: |
えーそうですね、僕は去年行ったとき、正直あまり美味しいものを食べられなかったので、監督に美味しい所に連れて行ってもらえるかなと思います、はい。 |
司会: |
皆様食べ物だけでなくて、映画祭にもぜひいらしてくださいね。 |
浅野: |
そうですね(笑)。 |
司会: |
10日、現地の10日の22時がですね、この「珈琲時光」の上映ということでね、それに合わせて、これから皆様出発をなさいます。ありがとうございました。 さて、この作品は他にもですねニューヨーク、トロント、釜山といった数々の映画祭へ出品されることが決まっています。また日本で公開された後、台湾やフランスでも公開される予定です。この作品が世界中のお客様に見ていただけるということについて、どんなふうにお感じなんでしょうか?またどういう所を見て欲しいとお考えなのかお聞きしましょう。監督、お願いいたします。 |
侯:(対訳) |
僕にとって今回のこの「珈琲時光」という作品はとても特別な意味のある作品でした。やはり異文化の中でこの作品を作ったということがそれに当たります。今、公開とか上映で色んな国の方が見てくださるという話が出たんですけど、おそらく僕が創造するのに、日本人である皆さんが見てくださる目と、他の国の方が見てくださる目はまた違うし、また、わりと映画を生業としている仕事、いわゆる業界の方が見る目と、一般の方が見る目はまた違って来るんじゃないかと思います。このような話をすると、僕はまた複雑な話をしそうになってしまうので、話を元に戻しまして、小津安二郎監督の生誕100年を記念して、僕はこの映画を作らせていただきました。そして色んな映画祭に呼んでいただいたりとか、激励とか励ましをしていただいたりとかして、非常にありがたいことだと思ってます。ありがとうございました。 |
司会: |
ありがとうございました。 一青さん、お願いいたします。 |
一青: |
はい、えっと? |
司会: |
(笑)世界中の方が見てくださる、また映画祭もあちこちで呼ばれているという、初めてご出演の映画で |
一青: |
は、はい、どう思いますか?ということですね。 |
司会: |
そうですね。 |
一青: |
はい、緊張してて、何度も何度も。えーとですね、監督が色んな人たちが、色んな国の人たちが見るとおっしゃられましたが、それでもみんなが感じる懐かしさというのは、どこの土地で生きてても一つあると思うので、その何か温かいものをこの映画で感じ取っていただけたらなぁと思ってます。なので、どこの国で上映されても、きっとみんなが何か共感出来るのではないかという自負も持ちつつ、皆さんが楽しめることを期待しつつ、そんな感じでございます。 |
司会: |
ありがとうございます。 浅野さん、お願いいたします。 |
浅野: |
そうですね、その外国の監督の人が、窈ちゃんはハーフで、僕は本当はクォーターなんですけども、そういう何かごちゃごちゃな状態で日本の生活を撮ってて、それがそういう世界中の人に見てもらうともっとごちゃごちゃになるような気がして、僕はそういうごちゃごちゃが好きなので、もっとごちゃごちゃになればいいなと思いますね。 |
司会: |
はぁ、世界中でごちゃごちゃっと |
浅野: |
はい。 |
司会: |
はい、本当に楽しみです。ありがとうございました。 さて、この度ですね一青窈さんは初めての映画出演ということで、実際に出演されて、監督の下、色々ご苦労や演技上の、何か音楽活動とは違うものっていうのをお感じでしたか? |
一青: |
うーん、とですとね、そんなに違うことは感じなかったんですよね、本当に。うん、なぜでしょう?歌ってはいないんですけども、素であることは間違いなくて、今ここで見てる一青窈とか浅野忠信とか監督っていうのは、ちょっと今はフォーマルな感じがしてますが、やっぱりみんなと同じように、家に帰れば日常があって、そんな日常が繰り広げられてる映画なので、あぁ一青窈って普通はこんな人間なんだなぁ!とたぶん理解していただけると思うので、もうちょっと身近に感じてもらえたら嬉しいなぁと思います。 |
司会: |
浅野さん、一青さんは初めてご一緒に出演なさっていかがでした? |
浅野: |
いや、もう全然問題なくって、僕がなんかそんなこと言ったってしょうがないんですけど(笑)いえ、とてもやり易くて、はい、助けてもらってたような気がします、逆に。 |
司会: |
何だか、一青さん、その場にそのままいればいいという監督のご指示だったそうですね? |
一青: |
はい、あのそのままでいました。きっと浅野さんもそのままでしたよね? |
司会: |
皆様、そのまんまのお二人をこれからご覧いただきたいと思います。ありがとうございました。 さてですね、今日は「珈琲時光」の撮影を手がけられました李屏賓さんが会場にいらしているんですね。流麗なカメラワークなさる美しい映像ということで、李屏賓さんです、ありがとうございます。もう世界を舞台に活躍なさっている、もうアジアで最も注目されている撮影監督です。ありがとうございました。 それではですね、これからご覧になるお客様に、映画のどんな所を見ていただきたいのか、最後に監督に一言うかがいましょう。お願いいたします。 |
侯:(対訳) |
どこからどこを見てくださいというのを、一部分で話が出来ないので、やっぱり全体として全部映画を見ていただいて、皆さんそれぞれの感想を持っていただいて、もし皆さんが小津監督の作品を身近に思っていらっしゃる方だったら、また違った味わいがあるかもしれません。ありがとうございます。 |
司会: |
ありがとうございました。 皆様ありがとうございました。侯孝賢監督、一青窈さん、そして浅野忠信さんでした。どうぞ拍手でお送りくださいませ。ありがとうございました。 |
更新:2004.09.03(金)
Kaori